熟考し、ブレイザーズと再契約
フリーエージェントになったロドニー・フッドは、複数のチームからオファーが届いた後、元デューク大の女子バスケットボール選手だった妻と時間をかけて話し合い、最終的にトレイルブレイザーズとの再契約を選んだ。
昨シーズン途中にキャバリアーズからブレイザーズにトレードされて以降、フッドは水を得た魚のように躍動した。ナゲッツと対戦したカンファレンス・セミファイナルでは、デイミアン・リラード 、CJ・マッカラムに次ぐ攻撃オプションとなり、19年ぶりのカンファレンス・ファイナル進出に貢献。この活躍を評価されて、ブレイザーズ以外のチームからもオファーが届いた。おそらく、1000万ドル(約11億円)を超える年俸を提示してきたチームもあっただろう。しかし彼は、来シーズンの年俸570万ドル(約6億2000万円)に、2020-21シーズンは600万ドル(約6億5000万円)のプレーヤーオプション付きという、サラリーキャップに十分な空きのないブレイザーズに提示できた精一杯の条件を受け入れた。
サマーリーグが開催されているラスベガスで開かれた会見に出席したフッドは、より高額な条件を出したチームと契約しなかった理由について、彼なりの考えを語った。
「妻と夜遅くまで話し合った。どのチームでならハッピーになれるか、どのチームに自分はフィットするのか、とにかく長期的な考えが重要だったんだ。このリーグでホームと呼べる場所はどこなのか、どのチームでなら自分のベストを発揮できるのか、どの街なら家族がフィットできるのか、色々と考えた。どういう話になっても、最終的にはポートランドという結論に至った」
「6年目の契約なので、あらゆる部分に影響が出るのは分かっていた。自分にとっては、しあわせでいられることが大事だった。家族も、そういう自分を分かってくれている。このチームにいたい。そのためなら、なんでもするつもりだった」
大金よりもしあわせを優先したことについて聞かれると、フッドは「そう。それで構わない」と、笑顔で答えた。
「特に感情的な話し合いにもならなかったし、僕にとっては大金。たしかにデイム(リラード)が得るような大金ではないけれど、僕にとっては良い契約。自分がハッピーなら、このリーグで成功できる。チームにフィットして、家族も喜んでくれるのなら、成功できる。そういうのは、コートでも目に見える部分なんだ」
優勝候補筆頭のチームに格安の契約で移籍するベテランは少なくない。短いキャリアで稼げる時に稼ぐという考えよりも、環境を優先するフッドのような選手は稀だ。
ブレイザーズは、球団内の絆が強いチームとして知られている。リラードとマッカラムを中心に家族のような関係性を築けているのは、コート内外での様子を見ても伝わってくるほど。
フッドにとっての成功は、大金を得ても適応するのに苦しい環境でキャリアを続けることではなく、フィットし、居心地が良く、楽しくプレーできる方だった。