「でも、これからは彼をやっつけてやらないとな」
カワイ・レナードはNBA初優勝を置き土産にラプターズを去り、クリッパーズへの移籍を決めた。昨夏のトレードでラプターズに加入した時点で、1年後にはフリーエージェントとなり去っていく可能性が高かった。トロントのファンはそれを理解していながらも、居心地の良さを感じたレナードが残ることを願っていたが、それは実現しなかった。
それはラプターズの指揮官、ニック・ナースも同じ。サマーリーグの会場でコメントを求められると、「地元に帰りたいという選手を責められない」と語った。「彼からは『地元に戻ることにした』というメールが届いた。もちろん残念だが、彼にはこう伝えたよ。『君はトロントで成し遂げたことは、多くの人の人生を変えた。特に私の人生を変えてくれたよ』とね」
「彼は素晴らしい人物だったし、彼をコーチングするのは楽しかった。能力が高く、常に集中していたからね。彼を指導した経験を聞かれるたびに、私はこう答えるんだ。『コートサイドに立って見ていればいい』と。彼を指導できた経験は、今後一生忘れない」
同時に、「でも、これからは彼をやっつけてやらないとな」と付け加えるのも忘れなかった。
ナースと同様に、あの時にジュラシック・パークを埋めたラプターズのファンもレナードの決断を尊重するだろう。敵味方に分かれたとはいえ、今後トロントに彼がやって来る時は、ラプターズファンが拍手と歓声で出迎えてくれるに違いない。