
天皇杯で平均5.5得点、5.0リバウンドとスタッツは軒並み向上
1月6日から12日にかけて行われた『第101回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会』は、アルバルク東京がシーホース三河を72-64で退けて14大会ぶり3回目の優勝を果たした。
今大会から日程が集中開催に変更され、アジア特別枠は外国籍選手としてカウント。ロスターに入れる外国籍選手は2名までで、コートに立てる外国籍選手は1名のオン・ザ・コート1ルールが適用され、どのクラブもBリーグとは違った戦い方を強いられた。外国籍選手と同時にコートに立てる帰化選手の活躍は、今大会MVPに輝いたA東京のライアン・ロシターを筆頭に目覚ましいものがあった。
三河にもトーマス・ケネディがいるが、彼のメインポジションはフォワード。センターポジションが多い外国籍選手や帰化選手とディフェンスでマッチアップするには、いささかサイズが劣る。Bリーグではジェイク・レイマン、アーロン・ホワイト、ダバンテ・ガードナーといったビッグマンたちがそれを可能にしているが、天皇杯ではその組み合わせができない。
こうした状況下で、一際輝きを放っていたのがシェーファー アヴィ幸樹だ。シェーファーは206cm106kgと恵まれた体格を持つ27歳の日本人ビッグマンで、三河には2020-21シーズンから在籍をしている。レギュラーシーズンではケガの影響があったものの、ここまで平均11.28分のプレータイムで1.6得点、1.5リバウンドを記録し、天皇杯では平均18.27分、5.5得点、5.0リバウンドとスタッツを軒並み向上させ、外国籍ビッグマンに対しても当たり負けしないポストディフェンスなど守備面でも貢献が光った。個人の結果についてシェーファーは「個人的には手応えを感じているわけではなくて、いつも通り自分のやるべきことをやっただけです」と淡々と語る。
ただ、日本人ビッグマンとしての評価について触れると「まだまだですよ(笑)。ですが『自分が日本人No.1ビッグマン』という気持ちでずっとやっているので、今大会を通じて外からそのように見えたのであれば、それはうれしいことです」と顔をほころばせた。だが、表情はすぐに引き締まった。「その気持ちは持ち続けますが、評価をするのは周りの人です。今回は優勝を逃しましたが、Bリーグでしっかりと役割をこなして優勝を成し遂げ、あらためて『日本人No.1ビッグマン』を目指してパフォーマンスを続けていきたいです」

「青で埋まったということは、本当に感謝しかない」
チームの成長については手応えを感じている。Bリーグでは負けが先行するシーズン序盤となったが、徐々に順位を上げ、現在は20勝10敗で西地区3位となって前半戦を終えた。そして外国籍選手のルールが違う今大会でも準決勝までの2試合は90点オーバーの試合、準決勝では宇都宮ブレックスを53点に抑えるなど、チームとしての完成度も高かった。
「今日は負けてしまいましたが準々決勝の琉球ゴールデンキングス戦、準決勝の宇都宮戦と正直、過去一番のパフォーマンスができたと思っています。チームとして(ライアン・リッチマンヘッドコーチ体制になって)3年目となり、やってきたことがしっかりと形になりつつあると感じています」
そしてこの大会で得たものについて、このように語る。「一発勝負ということもあり、みんなが40分間集中してやるべきことをしっかりとやることができました。(レギュラーシーズンでは)そのあたりが緩くなってしまうのが僕たちの弱みだと思うので、これをスタンダードにしていくことがウチの今やるべきことだと思います」
長いリーグ戦を戦う上で集中力を高いレベルで持続させることは難しい。それでも三河にはそれを可能にする術がある。「3人とも違った役割を持っていてチームとしてはすごく良いと思っています。常にキャプテンがコートに立ってるような感覚です」。そのようにシェーファーが語った3人とは石井講祐、須田侑太郎、西田優大の3人のキャプテンだ。須田は常に声をかけ続けてリーダーシップを発揮。石井はここぞの場面でベテランとしてプレーで還元してくれる。そして西田はプレー中の口数は少ないものの、コート上で高いスキルと得点力でチームを牽引してくれる。
シェーファーは、こう続ける。「すっさん(須田)はケガの影響でベンチスタートでしたがチームを支えてくれました。石井さんはプレータイムを今シーズンもらえていませんでしたが、コートに立てば常に100%で自分のやるべきことをこの大会で体現してくれました」。ポジションの近い3人が代わるがわる、そして時には同時にコートに立つことで、本来チームがあるべき姿を示してくれれば、三河の集中力は途切れることが少なくなるだろう。
そして何よりも力になったのはファンの力だ。「刈谷だったり愛知のほうから来るというのは簡単じゃないことですし、決勝が決まってから急いでチケットを取ったという人も多かったと聞いています。そうやって会場の半分がしっかりと青で埋まったということは、個人的にすごくうれしい限りなので、本当に感謝しかないです。優勝するところを見せたかった、という言葉に尽きるのですが、それはBリーグのチャンピオンシップでリベンジしたいです。その時は半分とは言わず、半分以上埋めてもらって、ファンのみなさんと一緒に優勝を勝ち取りたいです」
オン・ザ・コート1という天皇杯のルールで輝いたシェーファーの活躍は、レギュラーシーズン後半戦に必ず生きてくることだろう。日本人No.1ビッグマンと呼ばれる日は、そう遠くない話となりそうだ。