アンソニー・デイビス

ケガを押してプレーを続けたことが裏目に出て敗戦

現地1月8日、マーベリックスはジャズとの接戦を114-116で落とした。107-105とリードしていた残り3分、ラウリ・マルカネンのドライブを止めに行った接触でアンソニー・デイビスが左手首を痛め、あっさりとシュートを許した。デイビスは「大丈夫」とベンチにアピールしてプレーを続行したが、かなり痛むようで動きは緩慢になっていた。

その直後、ナジ・マーシャルのシュートが外れて速攻を浴びると、動けないデイビスはマルカネンに難なくかわされてイージーレイアップを許した。これで107-109と逆転。勝負どころで簡単に4点を失ったことで、流れはジャズへと傾いた。

指揮官ジェイソン・キッドは「選手たちが賢かったら、あそこはファウルでプレーを切るところだ。ベンチが『ファウルしろ』と叫んでいる間にイージーレイアップを許し、タイムアウトを取らざるを得なかった」と、試合運びの拙さを悔やむ。

デイビスはそれまで35分のプレーで21得点11リバウンドとスモールラインナップのジャズに対してゴール下を支配していた。今年に入ってからの4試合で19.8得点、11.8リバウンドと復帰後に調子を上げていた。

約1年前にルカ・ドンチッチとのトレードでマブスに加わったデイビスは、昨シーズンも今シーズンもたびたび戦線離脱している。今回も鼠径部のケガから復帰4試合目でケガをした。不運ではあるが、これだけ続くとどうしても『ケガの多い選手』と見られてしまう。

誰しも健康にプレーしたいのは当然だが、今はトレードデッドライン前のデリケートな時期で、『ケガの多い選手』という印象はマブスにもデイビス本人にもマイナスとなる。

現在14勝24敗のマブスは、トレードデッドラインを前にこのまま勝負に行くか、ドラフト指名順位を優先して戦力を落とすかの決断を迫られている。デイビスの復帰でチームはどん底を脱し、ここにカイリー・アービングの復帰も重なればチームは上向くだろうが、ここからの巻き返しには限界がある。デイビス獲得を主導したニコ・ハリソンGMがすでに解雇されたマブスで、現体制を維持する必要がどれだけあるのかは微妙なところだ。

デイビスは来シーズンは5840万ドル(約88億円)、2027-28シーズンにプレーヤーオプションを行使して残留すれば6280万ドル(約94億円)と『超』が付く高給取り。放出してサラリーキャップの柔軟性を高めたいのが現フロントの本音だろう。

さらに指名権の問題もある。昨年のNBAドラフトでは全体1位指名権を引き当ててクーパー・フラッグを獲得できたが、その流れは簡単には続かない。今年こそ自前の1位指名権を持っているが、その後は基本的に2031年まで1巡目指名権は他のチームに譲渡されている。今年の1巡目指名権はマブスにとって極めて貴重なもので、『意図的に勝たない』力学が働いても不思議ではない。

デイビスのトレード先として考えられるのは、トレイ・ヤングを放出したばかりのホークスだ。ジェイレン・ジョンソンを始めとするヤングコアとデイビスはタイムラインが合わないが、デイビスを獲得できれば今すぐプレーオフ進出チームになり、若手に『勝ちながら学ぶ』経験を積ませられる。

病気でほとんどプレーできていないクリスタプス・ポルジンギスを中心としたトレードを成立させるのは、それほど難しくないはずだ。今シーズン限りで契約満了を迎えるポルジンギスは、サラリーキャップに余裕を持たせたいマブスには受け入れやすいトレード要員となる。伸び悩んでいるが2年前のドラフト1位指名選手、ザッカリー・リザシェイがトレードに組み込まれる可能性もある。

ただし、すべてはデイビスが健康であることが前提となる。デイビスは左手首の靭帯を痛めており、ダラスに戻ってあらためて検査を受ける予定だが、手術が必要となれば長期離脱となる。今回のケガは、マブスもデイビス自身も、そしてデイビス獲得を検討する相手チームにとっても、頭の痛い問題となりそうだ。