残り2秒での決勝フローター、連敗を4で止める

ジャズが今シーズンも下位に沈んでいても、ユタのファンはチームを熱心に応援し続けている。現地12月26日、東カンファレンス首位のピストンズを迎えた試合にも1万8000人の観客が集まり、大きな声援を送る中で、ジャズは奮起した。

前半は3ポイントシュートが24本中11本と高確率で決まったことで互角の攻防を繰り広げ、第3クォーターにはベテランのケビン・ラブが3ポイントシュート2本と、5本のフリースローをパーフェクトで決めて11得点を記録。この間ずっとキヤンテ・ジョージ、ラウリ・マルカネン、ユスフ・ヌルキッチと各ポジションの軸となる選手が攻守を支えた。

それでも第4クォーターはケイド・カニングハムにボールを集めるピストンズが猛追を見せる。シュートに行くマルカネンからボールを奪い取り、速攻に転じてトバイアス・ハリスの得点をアシスト。このカニングハムの攻守のビッグプレーからピストンズは勢いを増す。ピストンズにもイージーなミスが出て終盤は大混戦となったが、残り20秒で敵陣でスティールに成功したカニングハムがフリースローを2本決めて、土壇場でピストンズが追い付いた。

リードを守りきれなかったジャズだが、地元ファンの大歓声の下でもう一度気合いを入れ直す。最後の攻めを託されたのはキヤンテだった。マルカネンのスクリーンを使ってアタック、フェイクを入れながらもリムに向かい、ふわりと浮かせたシュートを決めた。

残り2秒がピストンズに残り、カニングハムが遠い距離からシュートを放つも、これは決まらず。ジャズが131-129で激戦を制した。

キヤンテはゲームウィナーをこう振り返る。「ラウリが良いスクリーンを掛けてくれた。僕は相手の足の動きを見て、自分のシュートを選択した。逃げのシュートを打ちたくなかったので、ペイント内まで切り込んだ。あのフローターはかなり練習してきたんだ。だからあの位置まで行った時点で、あとは自分の努力を信じて打つだけだった」

あのシュートを決めた時点で、観客は総立ちで、腕を振り回して大声を挙げていた。まだ最後のポゼッションが残っていたため、キヤンテは緊張を解かないままベンチへと戻ったが、試合後にはユタのファンの情熱をあらためて称賛した。

「ルーキーイヤーのサンダー戦でこういうシュートを初めて決めた時のことは今も忘れない。目の前で話しているウィル(ハーディー)の声が聞こえないぐらいの大歓声だった。あの時からずっと、大学バスケにも劣らないここの熱気が大好きなんだ。フロアが揺れ、ファンが試合にのめり込んでいるのを見ると、僕の気持ちも高まる。遠征に行くと、試合開始時点でまだファンが着いていなかったり、あまり盛り上がっていないことがあるけど、ジャズのファンは最初から最後までスコアに関係なく全力で僕らを応援してくれる。本当に心強いし、大好きだよ」

ジャズは2022年オフにドノバン・ミッチェルとルディ・ゴベアを放出し、再建チームとなった。それから3シーズンはプレーオフとは無縁で、今も進出の目安となる勝率5割には遠く届いていない。

今はまだ約束しても果たせないかもしれない。だが数年後には──。その思いがキヤンテにはある。「ここでプレーオフを戦ったらどんな雰囲気になるだろう。いつもそう考えているよ」