
ディバインの代役に抜擢された水林夢翔が攻守に活躍
女子の準決勝で桜花学園が八雲学園と対戦。攻守が見事に噛み合うパフォーマンスで77-71で勝利し、ファイナルへと駒を進めた。
八雲学園の絶対的エース、テウ・アダマをどう抑えるかが桜花学園の課題。準々決勝でセンターのイシボ・ディバインが膝を痛めて戦線離脱してしまい、この部分ではかなりの苦戦が見込まれた。
ディバインの代役として先発したのは水林夢翔。立ち上がりはアダマを強く守ろうとするもスピンムーブでかわされたり、アダマに快調なペースで得点を許したが、すぐにアジャストする。水林はアダマを制限エリアから押し出す、ローポストでパスを受けてそのままゴール下でのシュートを打たせないポジション争いに集中し、他の選手が素早くカバーに入る。
リバウンドも同様で、水林はすべてを取りに行くのではなくアダマに良いポジションを取らせないことに専念。他の選手が飛び込むことでリバウンドを確保していった。試合開始から4分で8得点を奪われたが、そこから第1クォーター終了までの6分間の失点を2に抑えた。
良いディフェンスは良いオフェンスに繋がり、八雲学園のトランジションディフェンスの拙さを突き、竹内みやのコースト・トゥ・コーストなど高確率で得点を奪った。さらにサイズはなくても出足の鋭さでオフェンスリバウンドを奪い、セカンドチャンスでも八雲学園を苦しめ、44-30で前半を終えた。
第3クォーター、八雲学園はアダマ以外の選手のオフェンスへの関与を多くし、ボールを動かすようになる。これで良い形でパスを受けられるようになったアダマがリズムをつかむと、難しいミドルジャンパーも次々と決めるようになって、このクォーターだけで16得点を挙げる。第4クォーターには吉村彩里の3ポイントシュートが決まって10点差まで追い上げた。
ただし、『超攻撃的チーム』の八雲学園がクラッチタイムに競り勝つには、これまで欠いていたディフェンスの強度とハードワークをどこかで補う必要があった。得点を取っても失点が止まらず、桜花学園のシュートタッチは必ずしも良くなかったにもかかわらず、オフェンスリバウンドを奪われて失点してしまう。
その状況で奮起したのはアダマだった。終盤にはディフェンスでもリバウンドでも強度を上げ、桜花学園のインサイドの得点をシャットアウト。桜花学園の外のシュートが引き続き当たらない中で、アダマが次々と得点を挙げて追い上げていく。残り2分半、難易度の高いターンアラウンドジャンパーを決め、八雲学園が逆転に成功した。
ここからはリードチェンジを繰り返す展開に。それでも勝負どころで桜花学園が強さを見せる。セカンドチャンスを水林が押し込み、竹内がアダマが戻り切らない間にドライブからレイアップを決める。最後は勝部璃子が相手ディフェンスをよく見てフリースローを引き出し、2本を沈めて77-71。こうして桜花学園が接戦を制した。
桜花学園はエース勝部が20得点を挙げ、水林をサポートするディフェンスの働きも光った。水林は16得点、アダマを抑える仕事に加えてオフェンスでも堅実な仕事をしている。竹内は相手のディフェンスの難を確実に突いて14得点。またチームではリバウンドで46-43と八雲学園を上回り、これが終盤の苦しい展開を制する決め手となった。
アダマはフィールドゴール45本中23本を決めて50得点、さらには23リバウンドを記録。敗れてもなお、その得点能力と、終盤の勝負どころでギアを上げる精神力が光った。まだ2年生で、来年はさらなる活躍が見込めそうだ。