バスケ界にうれしいビッグニュースが舞い込んだのは5月16日。藤高宗一郎(サンロッカーズ渋谷)と栗原三佳(トヨタ自動車アンテロープス)の2人が、自身のインスタグラムを通じて結婚していたことを発表したのだ。4月には間宮佑圭(JX-ENEOS)が結婚して大﨑姓になることを発表し、バスケ界ではおめでたい話が続いているが、今回はトッププレーヤー同士の結婚のために、驚いたファンも多いことだろう。
実は、2人は大阪生まれで高校時代からの知り合い。藤高は名前から「ソウ、ソウちゃん」と呼ばれ、栗原も「爽快シューター」から取った「ソウ」がコートネーム。呼び名まで同じ2人はまさしくバスケ界の『爽やか夫婦』だ。
栗原が所属するトヨタ自動車の清野英二部長は「結婚した栗原や大﨑選手には女子バスケ界の新しい道を作ってほしいし、結婚して子供を産んでも、日本代表で活動する生き方を支援していきたい」とエールを送っている。
付き合って3年でのゴールイン。ここでは妻である栗原三佳の結婚への思いと今後についてのインタビューをお届けする。なお挙式の時期は未定であり、このオフはシーズン中に骨折した指の完治に向けて、治療に専念する。
藤高宗一郎
(サンロッカーズ渋谷/1991年10月11日生まれ、25歳/大阪商業大学高→関西大学出身)
栗原三佳
(トヨタ自動車アンテロープス/1989年5月14日生まれ、28歳/大阪薫英女学院高→大阪人間科学大出身)
高校時代からメル友、互いを「ソウ君」「ミカ」と呼ぶ
――ご結婚おめでとうございます。電撃の結婚発表だったのですが、2人の馴れ初めから聞かせてください。
2人とも大阪出身で、私の後輩とのつながりで知り合って、高校時代からメル友としてちょこちょこ連絡取るような間柄でした。でも2人で食事に行くようになったのは私がトヨタに入ってからで、向こうが大学4年くらいだったかな。付き合いだしたのは3年前くらいです。
――Instagramには「シーズン後が終わって落ち着いたら報告したい」とありましたが、入籍はいつしたのですか?
昨年の12月23日です。当分、挙式をするのは都合がつかないので、入籍だけ先に済まそうということになりました。
入籍を12月23日にした理由はとても単純で、2人のオフが同じで、一緒に婚姻届けを出しに行ける日がこの日でした(笑)。1月はオールジャパン、2月から4月まではリーグが佳境になってプレーオフで忙しくなってしまう時期だし、5月に入ると、その時は代表活動がどうなるか読めなかったので。あとは、今後のことを考えると、記念日は休日のほうがいいかなと思って。
――藤高選手のどんなところに惹かれたのでしょうか。
誰にでも親切で優しいところですね。2つ下ですけど、たまにどっちが上なのか分からないくらいしっかりしています。自分の考えをしっかり持っている人なので、プレーヤーとしてだけでなく、いろんな面で支えてくれます。メイ(大﨑佑圭)のところも年下ですしね。……ああ、恥ずかしい。こういうインタビューって慣れないですね(笑)。
――慣れないところ、まだまだ質問は続きます(笑)。選手同士の結婚にファンは驚いていましたが、周囲の反響が大きかったのでは。
ファンの方からはたくさんお祝いメッセージをいただきました。
――ちなみに、『ソウ』がニックネームな2人ですが、お互いに『ソウ』と呼んでたりして?
ないない。それはないです(笑)。私は「ソウ君」、彼は「ミカ」と呼んでます。
「バスケを辞めへんから、構ってあげられへんけどええの?」
――結婚して選手生活を続けていくことについては、お互いどう理解しているのでしょうか。
彼は「選手としてやりたいところまでやればいい」と言ってくれています。私ももちろん彼を応援しています。結婚しても選手として続けたいとはずっと思っていました。海外では結婚して選手として続けていくのは普通のことなのに、日本ではそういう考えがあまりなくて遅れていましたよね。日本代表で海外遠征に行くと、試合会場に子供を連れてきているママさん選手がいて、そういうのを見るといいなあと思っていました。
――チーム所在地の関係上、離れて生活をしていますけど、さみしくないですか?
プロポーズされた時に「まだバスケを辞めへんから、すぐ一緒に住まれへんし、
――2人だと当然、大阪弁で会話をするわけですよね(笑)。
2人だと大阪弁丸出しですね(笑)。
――清野部長は「ママさん選手としてオリンピックに出てほしいし、チームとして支援する」と言っていました。
今のところは、子供を産んでから選手としてプレーするかは考えていないのが正直なところですが、そういう選手が増えたらいいなという思いはあります。子供を産んで続けるかどうかは、その時に決めればいいことだし、選手として頑張れる状況であれば続けたいという考えです。メイもそうだけど、私たちのように結婚して続ける選手が増えたら、年齢層が厚くなるのでいいことですよね。
――オリンピックでは藤高選手の応援が励みになったのでは。
はい。オリンピックに出たことは彼も喜んでくれたし、彼の家族も応援してくれて本当に励みになりました。リオと日本は12時間の時差がありましたが、電話したり、ラインで連絡し合ったり。オリンピックで指を骨折したときも、リハビリで試合に出られない時も彼に元気づけてもらったので、乗り越えることができました。
「夫婦ともどもプレーヤーとしてもっともっと成長したい」
――結婚発表後、今後の生活スタイルは変わりますか?
今まで通りです。千葉と名古屋で距離はありますが、彼が住んでいるところに行ったり、一人暮らしをしている私の家に彼が来たり、行ったり来たりの生活は変わらないですね。
――今後、登録名はどうなりますか。
できれば私は旧姓でプレーを続けたいです。FIBAの大会に出る時はパスポート名の登録になりますが、Wリーグはパスポート名ではないので、せっかく栗原で覚えてもらったので、日本では栗原でいこうかなと思っています。まだ迷っているところはあるのですが、希望は栗原姓です。
――今季は日本代表候補に入りながらも、骨折した指の治療とリハビリのため、日本代表を辞退しています。現在の回復具合はいかがですか。
それが……結構、時間がかかっています。オリンピックで指の剥離骨折、クォーターファイナルでも再び指を骨折してしまい、シーズン中にかなり無理をしたみたいで。今は完全に治すことだけを考えてリハビリしています。
――結婚報告をしたところで、あらためて選手生活や日本代表への思い、ファンの方へメッセージを聞かせてください。
東京オリンピックまで続けられるかは分かりませんが、日本代表でトム(ホーバスHC)にバスケットを教わりたいし、もう一度、あの舞台に戻りたい思いがあります。今は指を完治させることが優先なので、リハビリを頑張ります。
私はシーズン中に彼のプレーをあまり見ることができないのですが、ダンクが魅力的ですし、選手目線ですけど、あれだけ跳べるのは本当にうらやましいです。ファンの方にはそんな彼のプレーを見に行ってほしいし、夫婦ともども、プレーヤーとしてもっともっと成長していけるように頑張りますので、今後も応援よろしくお願いします。