
昨年のウインターカップ王者、福岡大学附属大濠には今年も豪華なタレントが揃っている。その中で、1年生ながら強い存在感を放つのが白谷柱誠ジャックだ。四日市メリノール学院中で全中3連覇を達成し、16歳で日本代表候補入り。圧倒的な得点力と能力を武器に、将来を嘱望されてきた。しかし、高校の舞台は決して甘くはない。個の力だけでは通用しない環境で壁にぶつかりながらも、チームの一員としての役割と向き合い続けてきた。初めて挑むウインターカップに向けた、率直な思いを語ってもらった。
「下級生らしく思いっきりやりきる」
──中学校時代の活躍は多くの方が知っていると思います。その中で、福岡大学附属大濠への進学を決めた理由を教えてください。
中学3年生の時、U18日本代表の活動で片峯聡太先生がアシスタントコーチをされていて、一緒にアジア大会に挑みました。オーストラリアや韓国といった強い相手と戦う中で、その世界を一緒に見てきたからこそ、片峯先生にしか分からないことや、練習があるんじゃないかなと感じたんです。そういう環境でバスケットがしたいと思って大濠に来ました。
──実際に入学してみて、どうでしたか。
最初は中学と高校の違いに苦戦しましたが、留学生も増えている中で世界基準のバスケ、チーム全体で戦うバスケができていると思っています。
──これまで、代表活動もかなり多かったですよね。学校生活にも慣れる前で、部活動の練習にもあまり参加できなかったと思いますが、結構大変だったのではありませんか。
どちらかと言えば、キツい部分の方が多かったです。ただ、練習がむちゃくちゃキツかったとか、人間関係で苦戦したというよりは、違うカテゴリーの代表で「自分は何をすべきか」を常に考え続けなければいけない状況だったので、どれだけそこを早く切り替えられるかを一番頑張っていました。
──入学してからこれまでで一番学んだことは何ですか。
シュートに行ける場面でパスを選んでミスをしたり、全くリングを見ずにすぐパスを出したりするところは、この1年間で片峯先生から一番言われているんじゃないかな。
──「もっと主張して、そういうミスをした方が良いんじゃないか」と言われている時もあったかと思います。
それは今もまだ課題になってる部分です。ここ最近は良くなってきていると思いますが、やっぱり我を出すというか、自分の欲を出して、リングにアタックしたり、点を取ってチームに貢献するのも一つですし、自分が活躍するのも一つだから、それをもっとウインターカップでどんどん出さないといけないなと感じています。
──インターハイでの敗戦を経験して、そこから国体、また代表活動、U18日清食品トップリーグと続きましたが、その中で一番成長した部分はどこですか。
U16代表でキャプテンとしてチームを率い、ワールドカップの出場権を獲得できたことが、自分にとって一番の成長でした。ただ、大濠に戻ってくると自分が引っ張る立場というよりは、まだ引っ張られる側になります。それはそれで、下級生らしく思いっきりやりきるっていう、違う形でチームに貢献していきたいです。
──『背番号23』について聞きたいのですが、福岡大学附属大濠のOBの中でも、その番号を託された意味や期待は大きいと思います。その点についてはどう感じていますか。
普段は絶対にない番号を自分につけてもらえるのは、とてもありがたいことですし、その期待に応えられるように、頑張っています。

11月3日は「次のステップに進むための出来事」
──11月3日の福岡第一との県予選は厳しい結果でした。振り返ってみてどうすか?
最初から相手の勢いにのまれてしまい、普段通りの自分ではなかった部分もありました。ただ、ああいう試合を経験できたからこそ、今もあの日のことを思い出しながら練習ができています。結果としては負けたんですが、自分としては次のステップに進むために必要な出来事だったと思っています。
──ちなみに、今までで一番足引っ張ってしまったり、後悔してる試合はありますか。
インターハイの時の八王子戦と、11月3日の福岡第一戦、トップリーグ最終節の福岡第一戦ですね。自分が思うようにいかなかったし、自分のミスが目立った試合でした。
──具体的に、どんなところでフラストレーションが溜まりましたか。
自分からアタックして点を取りに行こうとしても、なかなか上手くいかなかったり、シュートが入らなかったり、それに、目の前の相手に向き合うことを忘れてしまう場面もあって、そこが一番活躍できなかった原因だと思います。
──ジャック選手的には、結果が出なくて焦ってるのか、そんなことはなくてチームとして勝ちたいとか、日頃はどんな意識で取り組んでいますか。
11月3日のウインターカップ県予選以降は、チームとしても個人としても結果が出せてないので、そこの部分にフォーカスして練習してます。自分のプレーで勝敗が決まることもあると思うので、そこに着目することで、自分がチームに貢献できるんじゃないかと思っています。
──高校1年生とは思えないほどインタビューにも慣れていますが、昔からですか。
しゃべれるようになりました(笑)。中学の時は、人前で話すと緊張してあたふたして、全然ダメでした。でも今は大丈夫ですし、むしろこうやって自分の意見をしっかり発信することは大切だなと感じています。
活躍できなかった試合やほとんど出ていない試合での取材対応にストレスを感じることも正直ありました。ただ、そこも自分が向き合わなければいけない場所です。まずは自分がどんな試合でも結果を残せる選手になりたいです。

「1年間でどれだけ成長したかを見せられる場」
──初めてのウインターカップですが、ウインターカップに対してはどんな印象ですか。
小学生の頃から見てきた大会で、山﨑一渉さんや岩下准平さんたちの代の試合をみてすごく感動したのも覚えています。ウインターカップの舞台は3年生にとっては集大成でもありますし、自分にとっては、1年間でどれだけ成長したかを見せられる場でもあるので、そこでしっかり結果を残すことも大切にしたいです。チームとしてはやっぱり、優勝がすべてだと思っています。
──この選手に負けたくないという相手はいますか。
鳥取城北とやりたいですね。注目されているハロルド・アズカ選手もいますし、今年は能力のある留学生のいるチームも多いので、そういうチームには負けたくないです。開志国際の高橋歩路選手や藤枝明誠の野津洸創選手のように、190cmあって何でもできる選手がいっぱいるので、自分がその中でどれだけやれるかを楽しみにしてます。
──皆さんもすごく期待されていていると思います。どういうプレーを見せたいですか。
緊張よりワクワクの方が大きいので、自分からどんどんアタックしたいです。3ポイントシュートも思いっきり打って、ディフェンスでは相手の嫌なところをどんどん突いて、攻守両面でアグレッシブにチームに貢献していきたいです。
──最後に応援してくれる皆さんへのメッセージをお願いします。
自分の派手なダンクには注目してほしいです。このチームは日本一しか狙っていないので、そのために全力で頑張ります。応援よろしくお願いします。