
西の強豪クラブとして知られる琉球ゴールデンキングスから、東の強豪クラブの千葉ジェッツへ移籍をして2年目を迎えた田代直希。チームは好調で15勝3敗と東地区首位でバイウィークを迎えた。タレントが多く揃うチームにあっても、スタッツには現れない献身性で指揮官の信頼を勝ち得ることのできる彼に、ここまでのチームの雰囲気、そして求め続けられるプレーヤーになるために必要なことについて話を聞いた。
「簡単なことを一生懸命やる」
──チームは好調をキープしています。今の千葉Jでは何を求められていますか?
ディフェンスの部分だと思っていますね。 あとは激しくやること、特に「エナジーを運んでこい」と言われてコートに送り出されることが多いです。なので前からプレッシャーをかけて激しくディフェンスをしたり、リバウンドに飛び込むということが求められていると思います。 オフェンスの部分ではバリエーションを増やしたいというチームの意向があるので積極的にアタックをすることが求められていますが、今はまだなかなかできていない状態なので、そこは今後の課題だと自覚しています。
──チームビルディングを進めるトレヴァー・グリーソンヘッドコーチの信頼を勝ち取るために、田代選手はまずどういったことから取り組みましたか?
まずは先に話した通り、ディフェンスとリバウンドです。特にトレヴァーは小手先の技術などよりベーシックな部分を遂行できることを要求していたので、そのあたりは心がけていましたね。簡単なことを一生懸命やるということは意識はしていました。
──キャリア初めての移籍に、難しさは感じましたか?
自分は元々新しい環境に飛び込むということが苦手な性格だったので、新しい環境への順応や仲間とのコミュニケーション、組織のルールにしっかり属さないといけないという点では難しさも感じていました。でもキャリアを9年、10年と積み重ねていくうちにある程度、周りも見えてくるようになりましたし、後輩も多いので、意外とコミュニケーションのハードルは高くなかったですね。ジェッツはすごく受け入れ体制のあるチームで、僕のことをフォローしてくれてさまざまな提案をたくさんしてくれているので、過ごしやすい環境でやらせてもらっているかなと思います。

「『原ちゃん』と『ジェッツの原修太』はまったく別人」
──チームには同世代で同じ千葉県出身の原修太選手がいますね。
加入当初は手助けしてくれると思ったのですが、彼はまったく手助けをしてくれませんでした……。毎年食事に行く仲だったのですが、僕の思っていた『原ちゃん』と『ジェッツの原修太』はまったくの別人で驚かされる毎日を送っています。横から文句を言われたり、むしろ足を引っ張ってくれていますね。
──(笑)。手厳しい同級生ですね。
でも今は飼い慣らしています(笑)。犬みたいなヤツで気分がコロコロ変わるので「今日はしゃべらないでおこう」とか、「今日はイジってやるか」とか、僕の彼を手懐ける技術は向上しましたね。
──琉球ではキャプテンも務められました。千葉Jでもリーダーシップを発揮する場面はありますか?
ジェッツは各ポジションにキャプテンが存在します。チームではそれを『リーダーシップグループ』と呼んでいて、(富樫)勇樹や渡邊雄太などがそのメンバーなのですが、その選手たちが集まってヘッドコーチとコミュニケーションを取ったりしていますね。
──田代選手はそのメンバーに入っていないのでしょうか?
入っていませんね。去年はオフコートキャプテンに任命されていたのですが、1年でクビになりました。オフコートでの貢献が少なかったんでしょうね……。
(広報) 役職の構成が変わっただけで、クビというわけではないです! 昨シーズンは、移籍してきたばかりの田代選手が「他の選手が嫌がることもチームのためになることはやるからなんでも言ってね」と。今までのジェッツにいないタイプの田代選手にスタッフ全員が感動して、満場一致で決まったんです。今は違うんですけど……。
──今は違うんですか(笑)。
ちゃんと千葉ジェッツ色に染まりましたね。
(広報)はい。今は反論(ありがたいご意見)をしてくる一員に加わってしまいました……(笑)