
「今作っているカルチャーをみんな我慢強くやっている」
「全然ダメです。まだまだ」
大阪エヴェッサの青木保憲は、中断期間に入るまでの自身の戦いぶりをそう振り返った。昨シーズン、29勝31敗の西地区4位に終わり、チャンピオンシップまであと一歩届かなかった大阪に新しく加入。チームを勝たせる司令塔として期待されているが、現状8勝10敗と成績を伸ばせていない。
「開幕からケガ人も出てメンバーが揃わず、安定した試合運びができていないです」と青木が言う通り、それが結果にもあらわれている。ただ、結果は結果として受け止め、それ以外の部分も重要視していると青木は続ける。「そんな中でもヘッドコーチがよく言うのは、『もし勝負に負けても、ハードワークの部分では絶対負けない』ということです。今作っているカルチャーをみんな我慢強くやっているのは前向きな部分です」
大阪の藤田弘輝ヘッドコーチは「ドッグファイト」という言葉をよく使う。それを体現するには戦術も重要だが、遂行するための高い強度や泥臭いプレーが不可欠である。大阪のカルチャー作りと再建を任されて就任2年目を迎えた藤田ヘッドコーチは「戦い続けられるチームになってきています。それは誇らしいこと」と徐々に手応えを感じている。
大阪のチームスタイルの1つとして、トランジションバスケがある。現在、チームのファストブレイクポイントはリーグで3位。1試合のポゼッション数を示すペースは5位となっている。
仙台89ERSで藤田ヘッドコーチと共闘した経験のある青木は、このスタイルの仕上がりにはまだまだ伸びしろがあると感じている。「オープンショットやイージーショットを打つためにペースを上げるのは重要ですが、タイミングを考える必要があります。時には的確なセットを選択することも重要ですし、そこの塩梅が特にセオさん(藤田ヘッドコーチ)のバスケットでは大事です。仙台の時も常に模索していました。そのバランス感覚は、僕自身もチームとしても養わないといけないですね」

「安定感のあるプレーをし、ボールの落ち着くところが僕でありたい」
青木個人のスタッツに目を向けると、平均21.0分の出場で5.6得点、1.1リバウンド、2.8アシストと仙台の時に比べ、微減している。ディフェンスを高く評価されている選手ではあるが、オフェンス面での期待も大きい。青木自身もそれを課題と感じており、よりオフェンスの中心になる必要があると語る。
「牧(隼利)が欠場している中、ハンドラーとしてボールを持つ機会が多いのですが、もっとクリエイトする必要があるし、もっと引力を持たなきゃいけないと思っています。もっとシンプルにプレーしなきゃいけないなと。僕はずっと『一貫性』をテーマに毎シーズン取り組んでいますが、試合によってムラがあったりするので、自分が納得できる試合は正直ここまでできていないです」
このように自身のパフォーマンスを厳しく評価する青木は「安定感のあるプレーをもっとして、ボールが落ち着くところが僕でありたいと思うので、まだまだ足りていないですね」と中断期間明けを見据える。「安定感のあるプレーをもっとして、ボールが落ち着くところが僕でありたいと思うので、まだまだ足りていないですね」
そしてオフェンス同様、ディフェンスでも課題は多いと青木は続ける。一人ひとりの強度はもちろんのこと、チーム内の連携をさらに高める必要がある。「良い日があったり悪い日があったりします。1対1は、もっとオーナーシップを持って守れると思いますし、1対1だけじゃなくアンテナを張ってチームのためにもっとできることはあります」
中断期間前にはヴォーディミル・ゲルンの欠場もあり、外国籍選手2人で臨んだ試合が6試合あった。ロスターが完全でないからこそ、全員が意識してディフェンスに取り組まないといけないと青木は強調する。「誰かの危機を察してヘルプに行ったり、もっとファイトできる時間帯はあるので、頑張らないとですね」

「僕たちはもっともっと良くなれる」
大阪の10敗のうち、5試合が2ポゼッション差以内である。その5試合には、広島ドラゴンフライズや島根スサノオマジック、長崎ヴェルカといった現在リーグで上位のクラブも含まれる。強豪とも十分に戦えている時間帯があるが、あと一歩のところで勝利に繋げられていない。
「取りこぼしている感覚はありますね。勝負どころでターンオーバーしたり、チームとしても個人としても、後からビデオを見返すと『あの時は、こうするべきだった』みたいなのは多いです」と青木はこの状況をもどかしく感じており、ここから勝利に繋げるポイントを語る。
「マット(・ボンズ)が得点ランキング1位で引っ張ってくれていますけど、みんなでやっていこうというが大阪のスタイルです。そのスタイルの良さもありますが、大事な場面で誰にどのプレーをさせるかを確立するのも重要です。それと同時に、接戦になるまでの過程となる第3クォーターまでの試合展開が悪いなど、クラッチタイム以前にも目を向けなければいけないです」
課題が見えているからこそ、アプローチができる。成績は黒星が先行しているが、青木は今後のチームの躍進を信じて前を向く。「18試合を終えて、僕たちはもっともっと良くなれると思っています。まずは『チャンピオンシップに出ること』がチームの目標なので、そのためにはしっかりとバイウィークで、もう一度自分たちの『OSAKA SOULってなんぞや!?ドッグファイトってなんぞや!?』をしっかりと見つめ直します」
「勝敗も追い求めるし、その過程でしっかりとファンの皆さんが僕たちのプレーを見て『これが大阪のバスケだな。明日も頑張ろう』と思ってもらえるような戦いを見せられるように準備します。僕自身もそれを引っ張れる存在でいられるように頑張ります」
ケガ人もあり、思うように成績は伸ばせていないが、ハードワークする姿は確実にチームを前に推し進めている。かつてbjリーグ制覇も果たした古豪が再び強い土台を作って、リーグを席巻する日も遠くないだろう。まずは中断期間明けの逆襲に期待したい。