ホーバスHC「相手に縦に抜かれるドライブを許しませんでした」

11月28日、バスケットボール男子日本代表は『FIBAワールドカップ2027アジア地区予選』の初戦となるチャイニーズ・タイペイ戦に90-64で圧勝。これ以上ない形でのスタートを切った。

チャイニーズ・タイペイは今夏のアジアカップでベスト8進出を果たすなど調子を上げていて、タフな戦いになることは避けられないと思われていた。しかし、日本は良い意味で予想を裏切り、立ち上がりから主導権を握る。強度の高いディフェンスで、チャイニーズ・タイペイの攻撃の核となるガード陣を抑えることに成功。前からプレッシャーをかけ、第1クォーターだけで4つのスティールを奪い、相手から9つのターンオーバーを誘発した。

さらに日本は6つのオフェンスリバウンドを奪いシュートに繋げると、フィールドゴール本数は23を記録。対するチャイニーズ・タイペイはわずか10本だけに留まり、ポゼッションゲームで圧倒した日本は、23-10といきなり2桁のリードを奪った。そして、第2クォーターに入ると日本代表は、立ち上がりで不発だった3ポイントシュートが富永啓生の爆発によって効果的に決まり出した結果、前半で23点の大量リードを奪うことに成功した。

指揮官のトム・ホーバスが「(他に中国、韓国もいる)一次ラウンドのグループは強敵揃いで、今回の試合が重要であることはみんな分かっていました。ホームを100%守らないといけない。得失点差も大事で、大差で勝つことも重要です」と語るように、後半に入っても追撃の手を緩めず、大量リードを維持して勝利した。

試合後、ホーバスヘッドコーチは「チームをとても誇りに思います。短い準備期間の中でチームはまとまり、ミッションを成し遂げました。みんながディフェンスで一つになり、相手に縦に抜かれるドライブを許しませんでした」と、まずは堅守を勝因に挙げた。

オフェンス面では、強化合宿でも重視していたペイントアタックで、相手ディフェンスを揺さぶることができたのが大きかった。指揮官は、ガード、ウイング陣のアグレッシブなプレーを次のように称える。「齋藤(拓実)は、他の選手よりアタックできることを証明しました。彼の判断は素晴らしかったです。西田(優大)も素晴らしかったです。これまでと役割が少し変わり、第2のボールハンドラーとして、よりアタックを重視するプレーをしっかりやってくれました。原(修太)は千葉ジェッツで見せているようなアタックを見せてくれましたし、ディフェンスはもちろん見事でした。馬場も本当に素晴らしく、多くのポジティブな要素がありました」

「今日、26点差で勝ちましたが、次の勝利を保証するものではない」

チームリーダーの渡邊雄太は29分出場で20得点5リバウンド5アシスト1ブロック1アシストと攻守に渡るハイパフォーマンスで勝利に大きく貢献。次のように試合を総括する。

「コーチが言ったようにオフェンス、ディフェンスともに遂行力は高かったです。チャイニーズ・タイペイはタレントが揃っている素晴らしいチームです。ただ、僕たちは、自分たちのやるべきプレーを遂行することができました。ルーズボールへのダイブ、リバウンドなど細かいところが素晴らしかったです」

一昨年までNCAA、NBAと10年に渡りアメリカで活動していた渡邊にとって、これまでワールドカップ予選のWindowは、オフシーズンとなる夏場に参加するものだった。それが昨シーズンから千葉Jでプレーすることで今回は初めて、この時期に代表でプレーすることになった。「シーズン中にプレーをするのはタフですが、楽しんでいます」と語り、「これまで(富樫)勇樹や(馬場)雄大などは、いつもこのタフなことをやってくれていました。今、僕は日本にいるので、(Windowの初めから)自分がどんな活躍をできるのかを見せられる機会です。今日は、それを示すことができました」と、代表への熱い思いを強調する。

この試合、渡邊のスタッツは見事だったが、同時にスタッツに出ない部分での貢献も素晴らしかった。試合が止まった時はすぐにハドルを組むことを促すなど、細かい確認を怠らないリーダーシップに加え、相手の激しい仕掛けにも動じない冷静な判断力、要所をしっかりと締める遂行力で、チャイニーズ・タイペイを波に乗らせない防波堤となっていた。

ホーバスヘッドコーチは「雄太が大事なところで、エルボーからのジャンプシュートを綺麗に決めてくれました」と振り返り、渡邊の存在がチームに落ち着きをもたらしていたと語る。「彼のプレーは安心です。相手がどんどん仕掛けてカオスを作りたい時、そこで焦ってプレーしない彼のような選手がいるとすごく助かります。雄太は(二コラ・)ヨキッチみたいに冷静です。彼のマークマンが小さい選手でミスマッチが生まれると、そこを突いた得意なスポットからシュートを打てていたのは良かったです」

ワールドカップ本大会出場へ、いきなりの正念場と見られたWindow1のチャイニーズ・タイペイとのホーム&アウェーの戦いは、日本にとって申し分のないスタートとなった。しかし、ホーバスは「フルコートプレスはアジアカップで使っていなかったので、チャイニーズ・タイペイも準備ができていなかったと思います。しかし、次は違います。前半は防げていたペイントアタックやトランジションも後半は出されていました。次の試合は大きなチャレンジとなります」と気を引き締める。

それは渡邊も同じで、「今日、26点差で勝ちましたが、それが次の勝利を保証するものではないです」と語る。中2日を挟んでアウェーゲームを勝ち切るためには、今回と同じく渡邊のハイパフォーマンスは欠かせない。