「下を向く必要なんてない。ほぼすべてを手にした」
クリス・ポールが2025-26シーズン限りでの現役引退を発表してから2日、レイカーズのレブロン・ジェームズが親友の引退について語った。
2人は長らくNBAを盛り上げる主役として友情を育んできた。2015年オフにはレブロンとポール、ドウェイン・ウェイドとカーメロ・アンソニーがバナナボートに乗って水遊びをする写真から、4人は『バナナボート・クルー』と呼ばれることに。レブロンとポールを中心にこの4人が同じチームで戦うのではないかと噂されたが、結局それは実現しないまま時が流れ、カーメロとウェイドが引退。そしてポールも現役引退を発表した。
レブロンとポールはキャリア中盤まで東がレブロン、西がポールとカンファレンスが分かれ、直接対決することがなかった。NBAでチームメートとなることはなかったが、2008年の北京、2012年のロンドンでオリンピックをともに戦い、2大会いずれも優勝している。
ポールが引退を発表した直後に、レブロンはSNSでオリンピックで優勝して金メダルをかじる若きポールの画像を投稿。ポールのニックネームである『ポイントゴッド』とともに「波乱万丈の道のり!」というメッセージを添えている。
そして現地11月23日、ジャズ戦を終えたロッカールームで取材に応じたレブロンは、「彼が可能な限り幸せでいてほしい」と心境を語った。
「引退する時に『怒っている』とか『ラストイヤーを十分に活用できなかった』なんてことになってほしくない。彼は家族のいるロサンゼルスに戻り、幸せを取り戻した。ラストイヤーをただ楽しんでほしい。僕らの付き合いは永遠と言っても良いぐらい長い。素晴らしい選手であり、素晴らしいキャリアを築いた。いくらでも語り続けることができるけど、本当に見事なものだよ」
クリス・ポールは今オフにクリッパーズへと移籍。ラストイヤーに、キャリアに唯一欠けているNBA優勝を目指しているが、今のところ進捗は芳しくない。チームはスタートダッシュに失敗して下位に沈み、ポール自身の調子も上がっていない。
ポールのキャリアを語る際には、どうしても「NBA優勝を経験していない」が付いて回る。しかしレブロンは「彼が下を向く必要なんてないさ」と語る。「このリーグで得られるほぼすべてを手にしたんだ。このすべてを受け入れてほしいと願っている。引退してしまえば、コートに立つ瞬間は二度と味わえなくなる。最後の機会を楽しんでほしい」
NBA入りこそレブロンが2年早いが、レブロンは1984年12月生まれで、ポールは翌年5月生まれと半年も変わらない。同世代の彼らはコート上で競い合いながら兄弟愛で結び付いた。ポールの引退試合のコートサイドには、『バナナボート・クルー』の面々が顔を揃えることになるだろう。
