文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

「出だしの部分を強調」することで優位な展開を作る

昨日、川崎ブレイブサンダースはサンロッカーズ渋谷とのチャンピオンシップ第1戦を89-75で制した。

ポイントガードの篠山竜青は1本目の3ポイントシュートを決めた直後に、まるで試合を決めたかのようなガッツポーズを見せた。「チャンピオンシップに関しては出だしの部分を強調してやりたかったので、そういう意味でも1本目が入って良かったです」

それだけ立ち上がりに重きを置いていた篠山は、直後にもう1本の3ポイントシュートを決めて、川崎が試合を優位に進める展開を自分の手で作り出した。

それでもSR渋谷はレギュラーシーズンにはなかった粘り強さを見せ、第4クォーター序盤で1点差と迫る。何度突き放しても楽にならない展開、集中力を切らせばSR渋谷に一気に飲み込まれかねない場面だった。だが、ここで再び篠山の2本の3ポイントシュートが決まる。

21得点も「ニックが立っているだけでアドバンテージ」

試合の行方を左右する場面だったが、何度も修羅場をくぐり抜けている篠山だからこそ、気負わずに自然体で放つことができたシュートだった。「第4クォーターもまだ序盤、点数もあまり気にせずに思い切って打っていい時間だと思っていたので。タッチも良かったし、特に深いことは考えずに『空いてたら打つ』という気持ちでした」と篠山は説明する。

篠山は勝敗を分けるカギとなった3ポイントシュートを5本すべて成功させ、チームハイの21得点を挙げた。リーグ得点王のエース、ニック・ファジーカスの18得点を上回る得点を挙げた篠山だが、ファジーカスの存在があってのスコアであることを強調する。

「ピック&ロールをしてもニックから離れない、ボールマンにヘルプがなかなか来ないディフェンスなので、ガード陣がいかに得点に結び付けられるかがポイントでした。ニックのおかげで自分が楽に打てる。ニックが立っているだけでアドバンテージがあると思います」

決して楽勝ではなかった初戦、第2戦を必勝の気迫で

点差だけを見れば川崎の圧勝に思える。しかし、試合内容を見れば必ずしもそうではない。SR渋谷はその強みを存分に発揮したし、第4クォーターまで接戦を演じた。特に24本ものオフェンスリバウンドを奪われた事実は『命取り』になりかねない部分であり、見過ごすことはできない。

篠山もそれは十分理解している。「ガード陣も含めてリバウンドに対する意識が強いので、リバウンドに関しては反省点が多いです。リバウンドに対しては気持ちの問題が大きいと思いますが、セカンドチャンスポイントを減らさないといけないです」

終始苦戦しながらも勝利を手にした川崎だが、もし今日の第2戦に敗れ1勝1敗となった場合、20分の休憩を挟み5分前後半の『第3戦』が行われる。このレギュレーションについて「考えれば考えるほど、1試合目の影響力が少ないと感じています」と篠山は苦笑する。

それでも「勢いに乗ったほうが勝っちゃうって感じなので、切り替えてもう一回勢いを出していけるように出だしからやっていきたい」と軽妙に語る篠山は、先を見据えることなく、ただ目の前の第2戦にすべてを懸ける。

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