河村勇輝

プレータイムは短くても『河村勇輝らしさ』を発揮

現地10月7日、ブルズは最初のプレシーズンゲームをキャバリアーズと対戦した。マタス・ブゼリスが19得点、ジェイレン・スミスが9リバウンドとそれぞれチームハイを記録したこの試合で、チームトップの5アシストを記録したのは河村勇輝だった。

今夏に2ウェイ契約選手としてブルズに加入した河村は、これがブルズでのデビュー戦。出番が回ってきたのは第3クォーター終盤で、両チームとも数多くの選手をテストする中、主力が次第にベンチに下がろうとするタイミングだった。

それでも河村はいきなりアクセル全開で、ザック・コリンズのダンクをアシスト。キレのある動きでキャブズ守備陣を翻弄し、第4クォーター開始からわずか2分半でアシストを5まで伸ばした。

視野の広さに加え、自分のアクションから次の瞬間に生まれるスペースを予測してプレーできるのが河村の強み。目の前のディフェンスをかわすことでもう1人を引き付ければコーナーが空くことを理解した上で、そのスペースに入るジェボン・カーターのコーナースリーをアシストしたのは、まさにその強みが発揮されたシーンだった。

また、サイズはなくてもリバウンド意識が高く、ディフェンスリバウンドを抑えた次の瞬間には、リムへと走る味方に距離の長いタッチダウンパスを正確に合わせることができる。河村の5アシストのうち4つを決めたコリンズは、その河村の縦に速いプレーに合わせる感覚がすでに出来上がっており、この連携がアシスト連発に繋がった。

さらには相手ディフェンスの連携が噛み合わなかった一瞬のスキを逃さず3ポイントシュートを決めており、デビュー戦での河村は14分の出場で3得点3リバウンド5アシストとまずまずのインパクトを残したと言える。

試合は118-117でブルズが勝利。勝敗が問われないプレシーズンとはいえ、結果が出ていなかったブルズにとって初戦の勝利は明るい材料だ。また、オフの自主練習でふくらはぎを痛めて出遅れたコービー・ホワイトを除けば、ジョシュ・ギディー、ブゼリス、ニコラ・ブーチェビッチと各ポジションで軸となる選手がこの時期に好調な動きを見せているのも心強い。

それでもブルズのガード陣は、ギディーとホワイトの先発コンビに加えて、経験豊富なアヨ・ドスンム、トレ・ジョーンズとハンドラーが多く、シューターのケビン・ハーターとカーターもいて競争が激しい。NBA2年目の主戦場をGリーグとするのではなく、ブルズのローテーションに食い込むには、今回のような良いアピールを続ける必要がある。