
意に沿わないトレードは過去のもの「もう大丈夫だ」
アンドリュー・ウィギンズは昨シーズン途中にウォリアーズからヒートにトレードされた。昨シーズン、『ジミー・バトラー問題』に振り回されたヒートは、バトラーをウォリアーズに放出し、その交換要員の一人としてウィギンズを獲得した。
本人は言葉にしないが、望んでいたトレードではない。コートに立てば言い訳無用で、コート外のどんな出来事も持ち込まずにベストを尽くすべきだが、選手もまた人間であり、プライベートで問題があれば影響を受けるものだ。
ウィギンズは落ち着いた生活の基盤があって初めてバスケに集中できるタイプで、ウォリアーズではすべての選手、スタッフと良好な関係を築き、家族の生活基盤も出来上がっていた。それらすべてがトレードで失われた。不運にもその数日前に子供が生まれていたが、彼は家族を残してマイアミに行かなければならなかった。
ヒート加入後は17試合に出場。19.0得点、4.2リバウンド、3.3アシスト、3ポイントシュート成功率36.0%とまずまずのスタッツは残したものの、試合にもたらす影響力は落ち、プレーオフでもその勝負強さは戻らないまま、キャバリアーズにスウィープ負けを喫した。彼はシーズン最後の会見をキャンセルした。
それでも2025-26シーズンの始動に際して、ウィギンズは笑顔を取り戻していた。「ここに来たばかりの頃は何も分かっていない状態で、自分の居場所を見付けるために試行錯誤していた。でももう大丈夫だ。少し出掛けることはあったけど、オフのほとんどをここで過ごした。コーチやチームメートとケミストリーを作り上げ、ヒートのカルチャーを理解した。家族もこっちに引っ越してきたし、子供の学校も決まった。腰を据えてバスケに取り組む環境が整った」
オフをマイアミで過ごしたことで、チームへの順応も進んだ。印象的な若手にケレル・ウェアを挙げ「才能だけじゃなくハードワークの精神を持っている。彼の将来が明るいのは間違いないし、この1年でどこまで伸びるか楽しみだ」と語る。もう一人、名前を挙げたのはクリッパーズから加入したノーマン・パウエルで、「彼がラプターズ、僕がウルブズの時代からずっとマッチアップしてきた。長年のライバルがついに仲間になるのは楽しいことだ」と笑う。
昨シーズンとは表情がまるで違う。それがウィギンズの本領発揮に繋がるだろう。指揮官エリック・スポールストラも、彼の復活を信じている。「7月からずっとチームの練習施設に通い、素晴らしいコンディションでチームに合流してくれた。家族が引っ越してきたのは大きいと思うよ。昨シーズンに彼が最高の試合をしたのは、家族が観戦に訪れていた時だった。身近に大切な人たちがいることで、彼は最高のパフォーマンスを見せられるんだ」