
「過去を守るのではなく、未来を追い求めるんだ」
オクラホマシティ・サンダーが誕生したのは2008年。17年目の昨シーズンに、NBA初優勝を勝ち取った。18年目のチーム始動を前に、サム・プレスティゼネラルマネジャーが会見を開き、NBA王者となったサンダーの新たな挑戦について語った。
「新シーズンはNBAの80シーズン目にあたる。振り返れば、それぞれ時代の上に次の時代が築き上げられ、この競技は進化してきた」とプレスティGMは語り始める。それは、サンダーが新興チームではあっても、NBAの歴史の上にあることには変わらないという確認だ。
「NBAの80年の歴史の中で、サンダーは18年目に乗り出す。昨シーズンは我々の短い歴史の中で重要な年になった。しかし、偉大なチームになるためのプロセスが昨シーズンで終わったわけではない。すべてのチームが成長を目指しており、我々が再び偉大なチームになるための次のステップは、ページをめくるための規律と謙虚さにある。昨シーズンの成功から自分たちを切り離すんだ。それが新シーズンもチャンスをつかむために最も重要な要素となる」
「我々は自分たちを模倣したり、過去の成功に縛られたりしない。今までもそんなことはしていないし、今回もそうはしない。我々は毎シーズンを新しい挑戦、新しい可能性に取り組む機会だと考えてきた。新しいシーズンで成功をつかむために、昨シーズンの公式を用いることはない。簡単に言えば、我々は成長を目指すということだ。我々はまっさらな心で、真っ白なキャンパスを見つめている。昨シーズンの成功を過去のこととして切り離れば、満足も驕りもない。平凡で退屈な話かもしれないが、これが17年間やってきたサンダーのやり方であり、今回も変わることはない」
「我々は誰の助けも借りない。地理的、気候的、街の経済規模、州の税法といったアドバンテージは何もない。我々が望むものは何であれ、自分たちの手で作り上げなければいけない。だからこそ規律さと謙虚を持ってページをめくらなければならない。我々は建設者であり、守護者ではない。過ぎた過去を守るのではなく、未来を追い求めるんだ」
「西カンファレンスを再び制するのは簡単じゃない」
NBA優勝をプレスティ自身がどう受け止めているかを質問されると、「優勝が究極の到達点だと考えたことは一度もない」と答えた。
「もちろん、他の誰よりも勝ちたいという気持ちは強い。私個人だけでなくクラブ全体がそうだと思う。しかし、この仕事を長くやって分かるのは、成功が多くの偶然に左右されることだ。私にとって最も難しい仕事は、毎年優勝争いができるチームを作ることだ。そして、優勝するチームは多くの努力やプロセスが結び付いた結果として生まれる。昨シーズンの成功にも『たまたま』の要素はあった。選手が正しいことを実践して、ツキに恵まれて成功を勝ち取ったことを本当にうれしく思っている。だが、今の我々は全く新しい挑戦を前にしている。そこで成功を収めたければ成長するしかない」
それでもプレスティは、仕事が成果を出して人々と喜びを分かち合うことを何とも思わないような冷血漢ではない。「オクラホマ以外の場所では『おめでとう』と言われるが、この街では『ありがとう』と言われる。みんながサンダーを自分たちの一部として自然に受け入れていると感じられるのは素晴らしいことだ」
「この会見で私は『ページをめくらなければならない』と繰り返しているが、ファンの皆さんに優勝を楽しむべきじゃないと言うつもりは全くない。それはあくまで競争のためだ。次の成功を勝ち取るには、過去の成功から自分自身を切り離す必要がある。西カンファレンスを再び制するのは簡単じゃない。リスペクトがあるからこそ、そう言うんだ」
「優勝すると『王朝の誕生』と言われるが、この6年か7年、どこが優勝してもそう言われた。だが、NBAを連覇したチームは現れていない。私は王朝について語るつもりは一切ない。ただ成長と改善について語るだけだ。昨シーズンからは何も持ち越さない。ゼロからスタートして、再び謙虚に勝利を目指す。それが最善の道だと信じている」