ビッグマン離脱への早期アジャストがカギ

河村勇輝の退団をいかに追い風に変えるか、という大きな命題に挑んだ昨シーズンは、フィンランドの若き俊英、ラッシ・トゥオビヘッドコーチを招聘し、個の力に依らず得点と勝利を目指す『コレクティブ・バスケットボール』を追求。ケガ人が相次ぎ、なかなか勝ち星は伸びなかったが、メンバーとスタイルがハマった時の強さは本物だった。

昨シーズン得た大きな積み上げをさらに高くするための一手として、フロントは島根スサノオマジックのエース安藤誓哉を獲得。日本人トップの平均16.3得点を挙げたガードの加入により、戦術や選手起用のバリエーションがより豊かになると目されていたが、マイク・コッツァー、ケーレブ・ターズースキーとビッグマンが開幕前に相次ぎ離脱するというまさかのアクシデントが発生。『FIBAユーロバスケット2025』で母国を史上最高位となる4位に導いたトゥオビヘッドコーチのもと、この困難をいかに早く払拭できるかに今シーズンの浮沈がかかっている。

スタッツ

予想スタメン

※掲載内容は9月23日時点のもの

安藤の加入と松崎裕樹の成長で、ガードとウイングの層が一気に厚くなり、昨シーズンよりもオフェンスとディフェンスのバランスが整ったユニットが形成された。森井がゲームをコントロールし、安藤にスコアリングに集中させる起用方法も面白そうだ。不安なのはやはりインサイド。インジュアリーリスト入りのコッツァー、ターズースキーのいずれかが復帰するまでの間、ゲイリー・クラーク、ダミアン・イングリス、9月中盤に緊急加入したキャメロン・ジャクソンがプレータイムをシェアし、上位チームの屈強なビッグマンたちにどれだけ伍することができるかが序盤のカギを握る。

所属選手一覧

※掲載内容は9月18日時点のもの

【キープレーヤー】

安藤誓哉
2021-22シーズンに移籍した島根で持ち前の得点能力が開花。Bリーグを代表する日本人スコアラーとしてその名を馳せるに至った安藤は、再び新たな自分に出会うために横浜BCに移籍した。レギュラーシーズン全60試合に先発出場し、平均32.4分出場、16.3得点という圧巻のスタミナと得点力、そしていつでもぶれない強気なメンタリティで、チームに劇薬級の影響力を与えることに期待したい。

【若手選手】

松崎裕樹
特別指定選手として途中加入した2022-23シーズン以来、壁を突き破れず苦しんでいたが、昨シーズンについにブレイクスルーの兆しが。持ち前のフィジカルと脚力に経験と技術がついてきて、終盤の佐賀バルーナーズ戦(3/23)では19得点(うち3ポイントシュート6本成功)6リバウンドと、いずれもキャリアハイとなるスタッツを残した。今シーズンもウイングの欠かせぬ戦力としてプレー時間が増えそうだ。

【新加入選手】

兪龍海
長いリーチ(身長+11cm)と高い身体能力を備えた24歳のウイング。2020-21シーズンに特別指定選手としての活動を経験した三遠ネオフェニックスで、2023-24シーズンから本格的なプロキャリアをスタート。2シーズンにわたって強豪チームのエッセンスを染み込ませ、満を持してユースでプレーした横浜BCに帰還した。年長者とも積極的にコミュニケーションをとり、外国人ビッグマンにも臆することなく身体をぶつける。チーム内競争を活性化させることにも期待だ。