チームスタイルに合った選手を的確補強

『変革のシーズン』と位置づけて臨んだ昨シーズンは、18勝42敗の中地区最下位と失意の結果に終わった。序盤はブローアウトの試合も少なくなく、悪夢の10連敗も経験。しかし選手たちはめげることなく徐々に立て直しをはかり、終盤はチームとして目指すべき方向性を確かに表現し、勝ち星に繋げられるようになっていた。

ネノ・ギンズブルグヘッドコーチ体制2年目の今シーズンも、日本人選手5人、外国人選手3人を入れ替える大工事ロスターとなったが、チームが志向するハイペースバスケをより尖らせ、昨シーズン明らかな課題だった失点(リーグワースト2位)、リバウンド(ワースト5位)を修復できる選手を獲得したという点では積み上げ路線。特に、サイズがあり身体も強い津山尚大、水野幹太、オマール・ジャマレディンをガードとウイングで兼用できる点は大きい。

昨年末に特別指定としてチームに加入し、高いポテンシャルを披露したポイントガードの米須玲音が全治未定のケガで開幕見送りになったことは非常に残念だが、チームはやるべきことを淡々とやり続けるしかない。篠山竜青、長谷川技、飯田遼、ロスコ・アレンというどんなときもハードワークを惜しまない選手たちを軸に、新たな『川崎スタンダード』を作りあげたい。

スタッツ

予想スタメン

※掲載内容は10月2日時点のもの

ギンズブルグヘッドコーチはスタメンを固定しないタイプの指揮官なので予想が難しいが、開幕当初のベースとなるのは上記のラインナップと予想。プレシーズンゲームでは194cmのジャマレディンを2番ポジション、201cmの野本建吾を3番ポジションで起用する時間帯もあった。プレシーズンで巧みなゲームメークを披露した185cmの水野幹太をポイントガードを起用すれば、さらに大型ラインナップを組むことができる。

所属選手一覧

※掲載内容は10月1日時点のもの

【キープレーヤー】

篠山竜青
言わずと知れた川崎ブレイブサンダースのシンボル。ゲームメークに定評のある選手だが、大エースのニック・ファジーカスが引退した昨シーズンは久しぶりにアグレッシブに攻める姿を見せ、キャリア初の個人賞となるベストフリースロー成功率賞を受賞した。昨シーズン中よりフォームを改造したという3ポイントシュートの成功率アップにも期待だ。

【若手選手】

山内ジャヘル琉人
昨年末に特別指定選手として加入。当初はコート上での消極的な振る舞いが見られたが、徐々に思い切りの良さを発揮し、外国人ビッグマンを相手にドライブからダンクシュートを叩き込むビッグプレーも見せた。今オフは古傷の治療とケガで多少出遅れたが、分厚い身体と豊かな身体能力を生かしたパフォーマンスで攻守ともに大きな成長が期待できる。

【新加入選手】

ドゥシャン・リスティッチ
バスケ大国セルビア出身、『FIBAワールドカップ2023』ではセルビア代表として準優勝を経験したビッグマン。213cm111kgの体格を生かしたスクリーンや相手ビッグマンのディフェンスはもちろんのこと、繊細なシュートタッチや多種多様なテクニックから量産される内外角のシュートにも注目。礼儀正しく勤勉な姿勢も魅力的だ。