1巡目3位指名のVJ・エッジコムは代役を務められるか

昨年のNBAドラフトで1巡目16位指名を受けたジャレッド・マケインは、NBAデビュー前から370万人のフォロワーを持つTikTokerとして注目を集め、デビューすると巧みな動きでボールムーブに絡み、フリーの状態を作り出しては高確率でシュートを決めていくプレーでさらに注目されるようになった。

開幕からケガ人が続出したセブンティシクサーズにおいて、数少ないポジティブな話題となったマケインだが、その活躍は長くは続かなかった。開幕から1カ月半、23試合に出場したところで左膝の外側半月板を断裂。12月中旬のこの時点で7勝16敗で、同じ試合でジョエル・エンビードが鼻を骨折して、成績がさらに落ち込むのは確実な情勢となった。

マケインは平均15.3得点、2.6リバウンド、2.4アシスト、3ポイントシュート成功率38.3%を記録し、ルーキー・オブ・ザ・イヤーの有力候補となっていたが、左膝を手術し、復帰を焦らずじっくりとリハビリすることになった。膝を完治させるのはもちろん、NBAの長く過酷なシーズンを戦い抜くコンディションを作り上げ、2年目の今シーズンに臨む計画だった。

しかし、シーズンオフの練習中に彼は新たなケガに見舞われた。トレーニングキャンプ開始を目前に控えた現地9月25日に右手のUCL(尺側側副靭帯)を断裂した。治療方針はこれから決められるため復帰時期は明らかになっていないが、通常なら4週間から6週間を要するケガで、開幕には間に合わない可能性が高い。

クエンティン・グライムズの去就がいまだ決まってないシクサーズのガード陣では、タイリース・マクシーと組む先発としてマケインが有力視されていたが、トレーニングキャンプに参加できないことで彼の序列は下がるだろう。カイル・ラウリーとエリック・ゴードンという大ベテラン2人もいるが、39歳と36歳の彼らを軸にチームを作っていくのでは先行きが厳しい。

昨シーズンはマケインが戦線離脱した後にもグライムズがエース級の働きを見せ、2年目のリッキー・カウンシル四世、2巡目ルーキーのアデム・ボナ、ドラフト外の2ウェイ契約選手だったジャスティン・エドワーズといった若手のブレイクが相次いだ。今シーズンもポール・ジョージが左膝をオフに手術した影響で出遅れるシクサーズは、若手に多くのチャンスを与えることになるだろう。

今年のNBAドラフトで1巡目3位指名したVJ・エッジコムは、爆発的な身体能力を武器に攻守に貢献できるシューティングガード。マケインがこの時期にケガをしてバックコート陣が不安定になるのはマイナスでしかないが、これでエッジコムはデビューのタイミングから大きなチャンスを与えられる可能性が出てきた。