トレイ・ジョーンズ

群馬がSR渋谷との我慢の試合を制する

921日、群馬クレインサンダーズとサンロッカーズ渋谷のプレシーズンゲームが開催された。前日は72−50で群馬が大勝。この試合は終始SR渋谷がリードする展開となったが、最終的に59-58で群馬が逆転勝利をおさめた。

群馬は中村拓人、藤井祐眞、トレイ・ジョーンズ、エージェー・エドゥ、ケリー・ブラックシアー・ジュニアが先発を務め、『FIBAユーロバスケット2025』を戦い終えたばかりのヨハネス・ティーマンはコンディション調整のためロスターを外れた。SR渋谷の先発は、ベンドラメ礼生、田中大貴、ディディ・ロウザダ、ドンテ・グランダム、ジョシュ・ホーキンソン。ジャン・ローレンス・ハーパージュニアはロスター入りしなかった。

群馬はブラックシアー・ジュニアのポストアップから先制するも、リングに嫌われるシュートが続き、なかなか得点が伸びない。エドゥのミドルシュートやブロックなど良いプレーも飛び出したものの、セカンドユニットが出場すると山内盛久とロウザダに連続3ポイントシュートを許し、逆転され、13-15で第1クォーターを終える。

第2クォーターはジョーンズを4番起用するスモールラインナップでアドバンテージを得ようとしたが、開始から連続失点。インサイドを起点に効果的なオフェンスを仕掛ける時間帯も作ったが、SR渋谷の高さに対応できずにオフィシャルタイムアウト時点で7点のビハインドを負った。細かいミスが続き波に乗れない中、残り1分から辻直人と中村が続けて3ポイントシュートを決めて逆転に成功したものの、最後のポゼッションでターンオーバーから田中に得点を許し、27-28でクォーターエンド。リードは奪えなかった

第3クォーターはベンドラメの果敢なアタックから得点に繋げたSR渋谷が序盤の主導権を握ったが、群馬もエドゥのゴール下での連続得点と藤井の3ポイントシュートで同点に追いつき、SR渋谷にタイムアウトを取らせる。しかしSR渋谷はここからホーキンソンの連続得点とロウザダのコーナースリーで8点のリードを築き、今度は群馬がタイムアウトを請求。一進一退の攻防のまま43-48で最終クォーターを迎える。

群馬は辻の3ポイントシュートやコー・フリッピンのアタックで勢いづき、チームディフェンスも機能しだしたものの、点差は埋まらず5点ビハインドでオフィシャルタイムアウトへ。両者ともに3分以上フィールドゴールのない重たい展開を経て、ジョーンズがレイアップを決めて2点差まで迫る。続くポゼッションは失点したたものの、再びジョーンズが3ポイントシュート沈め1点差に。ベンドラメの3ポイントシュートが外れて迎えた残り26.7秒、群馬ボール。ボールを託されたジョーンズは、トップの位置からグランタムに1対1を仕掛け、リングまで一直線。レイアップを決めてチームを逆転勝利に導いた。

トレイ・ジョーンズ

「最後は仲間が信頼してボールを託してくれた」

試合後、カイル・ミリングヘッドコーチは、今回のプレーシーズンゲームの意義を次のように語った。「2連戦を経験できたのはよかったです。オフェンスがうまく遂行できないこともありましたが、最後まで選手たちが戦ってくれて勝つことができました。学びも多くあったので良い準備期間になりました」

勝敗が最優先事項ではないプレシーズンゲームではあるが、1点を争う試合を制したことが良い経験となり、自信に繋がった。ミリングヘッドコーチは続ける。「レギュラーシーズンでも2試合目はフィジカルを強めるチームが多い中、今日は序盤ゆるく入ってしまいました。特にホームでの2戦目は必ず勝ちたいので、どのような戦いをすれば勝てるのか考えていきます」

最終盤の連続8得点でチームを救ったジョーンズは、最後の場面を振り返る。「接戦となり集中してプレーすることができました。今日はなかなかシュートが入っていなかったですが、3ポイントシュートも決まり、最後は仲間が信頼してボールを託してくれたので決められてよかったです」

在籍期間がチーム最長、常に終盤にボールを託されるエースとして活躍しているジョーンズだが、何よりもチームの勝利のためにプレーしている。「自分自身のゴールとして勝利は最優先していることです。自分はどんな役割もできると思っているので、柔軟にやっています」

群馬に加入した当初は得点で引っ張ることを主としていたが、年々有力な選手が加入するにつれてその役割は変わってきた。それでジョーンズはこの試合でのパフォーマンスが示すように、チームの勝敗を左右する場面で十分に力を発揮できるし、その中でも自分の仕事をまっとうするチームファーストな姿勢は崩さない。「スコアラーを任されることも理解していますが、このチームは得点力が高い選手もいるので、試合によって役割は変わります。私はその先の勝利を重視していきます」

ティーマンが欠場という状況でも、インサイドがフルロスターのSR渋谷相手に渡り歩いた今のチームに、ジョーンズは手応えを感じている。「このチームは自信を持って『良いチームだ』と言えます。リーグを代表するガードが揃っており、層が厚いチームです。多くの選手がコートに立って、いろいろなラインナップが組めるのが強みになります」

昨シーズンのチャンピオンシップ敗退後、ジョーンズは「スタートラインに立った」と話した。今シーズンにかける思いは人一倍強いだろう。エースとして、チームリーダーとして、群馬を強豪クラブへ押し上げる原動力になってくれるに違いない。