トレイ・ヤング

ベバリー「なぜ僕に意見できると思っているんだ?」

パトリック・ベバリーとトレイ・ヤングの『舌戦』は、SNSからポッドキャスト番組に飛び火して規模が拡大した。あるファンの「なぜNBA選手はオフの練習場では一生懸命なのに、何百万人もの観客が見ているオールスターでは手を抜くの?」という投稿が発端だった。これにベバリーが「オールスター選手にとってはそれが当たり前だからだ」と答え、トレイが「落ち着けよ。僕らに自分たちの言葉で語らせてくれ」と反応した。

ベバリーは自身のポッドキャストで、トレイが反論したこと自体を批判した。「彼はなぜ僕に意見できると思っているんだ? 彼はプレーオフに3回しか出ていない。僕は9回で、キャリアの最初の7年でプレーオフ進出を逃したことはない。しかも(競争の激しい)西カンファレンスでのことだ。彼は多分『いや、お前エースじゃない』と反論するだろうが、バスケはチームスポーツだ。彼が僕と対等に話すには、これからケガなくキャリア13年目までやらなきゃいけない。普通に考えれば追い付けない。僕に口出しする資格はないんだ」

ベバリーの発言は次第にヒートアップしていく。「おいトレイ、どれだけ得点しても、いくら稼いでも、アシスト王になっても、勝てなきゃ何の意味もない。引退したらすぐに忘れ去られる。あっという間にな。ホークスでプレーしたある選手は僕にこう言った。『あれはアトランタ・ホークスじゃなくトレイ・ホークスだ』とね。そんなことじゃ勝てないのも当然だ」

これに対して、トレイは自身のポッドキャスト番組で反応した。「いいだろう。バズりたくてやっているんだろうから手を貸そう。これは君のためのポッドキャストだ」

こうしてトレイは語り始めた。「君が言うように、プレーオフの進出回数は君が9回で僕が3回だ。君の方が多いね。カンファレンスファイナル進出は君も僕も1回。でも、君は9年目で、僕は3年目だ。君の平均スタッツは7得点と2アシストだ。僕の数字を言うのはやめておこう

「NBAでプレーオフに出場するのは大変なことだ。全力を尽くし、さらにツキが味方する必要もある。君の勝利への影響力はとても強かった。でも、その影響力とは何だろうか? 君は素晴らしいディフェンダーだと言われているけど、僕は君とのマッチアップを恐れたことは一度もない」

トレイ・ヤング

ヤング「僕は暇じゃない。待っている人たちがいる」

「NBAの兄弟にこんなことは言いたくないが、君がこんなやり方を望むなら僕の投稿について説明させてくれ。僕は『落ち着けよ。僕らに自分たちの言葉で語らせてくれ』と投稿した。ただそれだけのことなんだ」

「みんなそれぞれ意見はあるから、僕がオールスター選手を代表して発言することはできない。オールスターに選ばれたことがないヤツがオールスターを語るのに対して、僕個人の意見として『落ち着けよ』と言ったんだ。オールスターでどんなプレーをすべきか議論があるのは分かっている。それに対して『オールスター選手である僕らに自分たちの言葉で語らせてくれ』と言っているんだ」

「君はプレーオフ進出9回、多くの試合に勝ってきた。でもその勝利はオールスターによってもたらされたものだ。オールスターゲームをテレビで1時間か2時間見ただけの人が、当事者として語ることに僕は怒りを感じたんだ」

ベバリーが感情的に強い口調で話したのとは対照的に、トレイは淡々と言葉を発していく。だが、そのメッセージは非常に強いものだ。「君はフォロワーを増やして、いいねを押してもらうために過激な話をしているんだろう。僕の反論でより多くの注目が集まることを願っているよ。僕は8年目を迎える27歳で、キャリアの全盛期はこれからだ。君は37歳で、しゃべる分野に転身した。君の成功を心から願うよ。ただ、ファンに誤解してほしくないのは、現役を退いてメディアの世界に行く人の発言は、普通ならフォロワー欲しさや金儲けのためじゃないってことだ」

「ベバリーに言いたいのは、僕は暇じゃないってことだ。『トレイ・ホークス』と言った誰かは僕の電話番号を知っているだろうから、言いたいことがあればその人物から番号をきいて電話してきてくれ。君はポッドキャストを続ければいいが、僕は今回限りにする。僕には待っている人たちがいる。シーズンに向けた準備をしなくちゃならないんだ」