千葉ジェッツでおなじみとなった試合後のスピーチと「フォー!」の叫び声で、一躍リーグの人気者となったトビン マーカス海舟。千葉Jではプレー面よりも明るいキャラクターが先行していたが、シーズン途中に移籍した東京ユナイテッドバスケットボールクラブ(以下、TUBC)では中心選手として存在感を示した。
今シーズンより福井ブローウィンズで新たな挑戦を始めるトビンのインタビュー前編では、昨シーズンまでに得た経験や「フォー!」の誕生秘話について聞いた。トビンの第一言語は英語。決して流暢ではないながらも一生懸命な日本語でエネルギッシュに語ってくれた。
昨シーズン途中にTUBCへ移籍「新しいチャンスを楽しもう」
──1シーズン半在籍した千葉ジェッツではどのようなことを経験できましたか?
ジェッツに入る前はシュートに自信があったけど、オフェンスの流れの中でプレーができなかったね。なぜか僕がボール持ったら流れが止まっちゃう問題があって(笑)。チームメートは流れの中で活躍するのがうまかったから、すごく勉強になったし、ジョン・パトリック(千葉Jの前ヘッドコーチ)からはディフェンスのポジションをたくさん教えてもらった。練習中は「全然ボール見てない」「ポジションがやばい」って毎日言われてたけど、ちょっとずつ成長できたかな。
──以前、ジョン・ムーニ選手やディー・ジェイ・ホグ選手といった強力な外国籍選手と練習からマッチアップすることで鍛えられていると話していましたね。
それはめっちゃある! マッチアップするだけじゃなくて、試合中や練習中に良いプレーがあったら「どうやったの?」って聞くとみんなが教えてくれた。たくさん勉強できたから僕は良い選手になってきたと思う。
──TUBCではキャリアの中でも一番長いプレータイムを獲得しましたね。
ジェッツのチームメートもブースターも僕のことを応援してくれて感謝だし、めちゃくちゃ楽しかった。もちろんTUBCのみんなにも本当に感謝していて、前から「マーカスが欲しい」って言ってくれていたみたいだけど、僕はずっとB1でやりたいって気持ちがあったから……。ただ、あまりプレータイムはもらえてなかったから、家族や池内さん(千葉Jの池内勇太ゼネラルマネージャー)に話したら「今一番大事なのはプレータイムだよ」と言われて、成長するために移籍を決めました。
──合流後2試合目で20得点を挙げて、MVPにも選ばれましたね。
最初の試合は慣れてなくて、めっちゃ下手くそだった(笑)。でも2試合目は、ジェッツのみんなが応援に来ることになってたからプレッシャーがあって「今日は絶対に活躍しないと!」と頑張ったね。 アグレッシブにアタックして、 ディフェンスも激しくやって、そうしたら良い結果に繋がった。
──最初は迷ったけど、結果的にTUBCでプレーしてよかったと感じていますか?
まぁ、TUBCに行くと決めた時から「よかった」という気持ちにはなってたかな。ジェッツを離れる寂しさはあったけど、それよりワクワクの気持ちがあったから、新しいチャンスを楽しもうってなってたね。
「『Woooo!』なのに『フォー!』になっちゃった(笑)」
──TUBCでは1対1を仕掛ける場面も多く、比較的自由にプレーさせてもらっている印象でした。
純さん(橋爪純ヘッドコーチ)が選手たちを信じていたから自由にバスケットができたけど、どうやったらチームの中で活躍できるかをいつも考えてたね。僕だけじゃないけど、みんなが強みを出せてたのは、純さんのおかげ。本当にありがとうございます。
──どこへ行っても人気者ですが、明るいキャラクターは意識的にやってるというよりも元々ですよね?
でも、日本に来た最初は、ずっと真面目であんまりしゃべらなかった。真面目はダメじゃないけど、ちょっと真面目すぎたかな。でもバスケットは楽しいものだから、バスケットで活躍するのも大事だけど、まずはみんなに楽しんでほしいと思ってた。つらい思いをしている人もいるから、僕がプレーしなくてもブースターを笑顔にできたら一番うれしいなと思ってる。みんな勝ったら喜ぶけど、どんな時でもみんなを元気にしたいと思ってやっていたね。
──「フォー!」の着想が、リック・フレアー(アメリカの往年のプロレスラー)だったのは驚きましたが、響きを聞いて納得もしました。どんな経緯で誕生したのでしょうか?
試合前に「今日は『ジェッツ締め(ホームゲーム勝利時に選手が行う恒例演出)』だから頑張って!」って急にスタッフに言われて、ビックリした。(富樫)勇樹からも「何でもやっていいよ。ふざけていいよ」って言われたから、どうしたらみんな楽しんでくれるかなって考えたんだけど、僕は小さい時からWWE(アメリカのプロレス団体)が大好きで、レスラーが何か言うとそれにお客さんが返事するのがすごいと思ってたから「一緒に『Woooo!』しましょう」って始めたんだ。でも日本人の耳だと「フォー!」に聞こえるから、「Woooo!」なのに「フォー!」になっちゃった(笑)。
船橋の中心で、フォーをさけぶ
〜フォー兄さんのはじまり〜#千葉ジェッツ #トビンマーカス海舟 #マーカ遺産 #最初の5回で完成したスタイル #俺たちの太陽 #感謝 pic.twitter.com/ceZrMOqOWq— 千葉ジェッツふなばし 🛫PAINT IT JETS✨ (@CHIBAJETS) May 26, 2025