チーム内での競争をプラスに

4年連続のファイナル進出を果たしたものの、惜しくも準優勝に泣いた琉球ゴールデンキングス。しかし、国内外合わせて年間86試合という過密日程を戦い抜いて、天皇杯初優勝、東アジアスーパーリーグ(EASL)4位という結果を挙げたことは誇れるものと言っていいだろう。新シーズンは大幅なロスター変更はなく、新加入は佐土原遼(ファイティングイーグルス名古屋)と小針幸也(川崎ブレイブサンダース)のみ。特に佐土原はリーグ屈指の日本人フォワードとして、リーグはもちろん天皇杯やEASLといった異なるレギュレーションへの対応面でも大きな役割を担うことになりそうだ。昨シーズン後半から加入した20歳の崎濱秀斗もしっかりと準備を整えて開幕を迎え、既存戦力との融合によって層の厚みを増した。

選手層の充実は同時に競争の激化も意味する。11名でスタートした昨シーズンは全員に出場機会があり、チームがまとまりやすかったが、今シーズンはU22枠登録の平良宗龍、佐取龍之介を含めた16名の大所帯で開幕を迎える。また、沖縄出身で地元に縁のある選手が一気に加わったことも今シーズンの特徴だ。桶谷ヘッドコーチは「彼らはキングスの未来であり沖縄の未来を背負っていく選手。育成の環境をしっかり作っていきたい」と語り、遠征への帯同や試合出場機会の確保など、成長を後押しする仕組みづくりにも取り組む姿勢を見せる。勝利と育成の両立という課題に挑みながら、EASL、天皇杯、Bリーグの3つの舞台で頂点を狙う今シーズン。琉球は挑戦者としての姿勢を貫き、夢の3冠に挑む。

スタッツ

予想スタメン

※掲載内容は10月2日時点のもの

今シーズンも多くのタレントを抱え、多彩なラインナップで戦うことができる。大黒柱の岸本隆一を中心に据え、小野寺祥太や松脇圭志といった経験豊富な仕事人たちが脇を固めることで、若手たちが思い切りよくプレーできるだろう。帰化選手と外国籍選手は全員が継続。昨シーズンもリーグトップだったリバウンドで他チームを圧倒しそうだ。

所属選手一覧

※掲載内容は10月2日時点のもの

【キープレーヤー】

岸本隆一
言わずと知れた琉球生え抜きの司令塔。高精度かつ勝負強い3ポイントシュートで存在感を示し、チームをコート内外で牽引する。昨シーズンはチャンピオンシップ目前に左足を骨折して戦線を離れたが、9月のプレシーズンゲームでは復帰を果たし、3ポイントシュートを決めるなど安定した姿を見せた。若手が台頭する中、自身はプレーの正確性にこだわりつつも、互いを尊重しながらチームをまとめあげ、磐石かつ進化した絶対的エースとしてのチームを支える。昨シーズンのリベンジにかける強い思いは、琉球の王座奪還に向けた何よりの起爆剤となるだろう。

【若手選手】

脇真大
新人賞にも選出された昨シーズンは、出場した全60試合で平均21.29分の出場で7.3得点、3.2リバウンド、2.0アシストを記録。攻守にわたる活躍でチームを支えた。チャンピオンシップにも全試合に先発出場し、素早い仕掛けから積極的にゴールへアタックし得点を重ねるとともに、相手の主力選手にも果敢に対応して守備でも力を発揮し、準優勝に大きく貢献した。フィールドゴール成功率、リバウンドでもチーム日本人トップを記録し、攻守両面で琉球の主力として成長中。高いコミュニケーション能力で、若手ながらチームの中心選手としての活躍も期待されている。

【新加入選手】

佐土原遼
昨シーズンはファイティングイーグルス名古屋で58試合に出場し、平均12.8得点、3.6リバウンド、2.0アシストを記録。強靭なフィジカルで外国籍フォワードにも当たり負けせず、日本人ウイングの中でも屈指の評価を受けた。新天地に琉球を選んだ理由については「優勝リングがほしいから」と語り、ハングリー精神をチームのカルチャーと重ね合わせる。さらに日本代表合宿での経験を踏まえて課題である3ポイントシュートの強化にも取り組むなど、進化への意欲が強い即戦力だ。