文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

狩野の3連続3ポイントシュートで流れを手繰り寄せる

Bリーグ最終節、シーホース三河と滋賀レイクスターズの第1戦。3ポイントシュートで突き放し、外国籍選手の力で上回った滋賀が三河を破りB1残留を地力で決めた。

序盤から積極的にシュートを放つ滋賀は、ジュリアン・マブンガが第1クォーターだけで3本の3ポイントシュートを沈め主導権を握る。三河は桜木ジェイアールのシュートが入らず、インサイドを使えずにリズムが出てこない。残り4分を切り並里成がアイザック・バッツとのスピードのミスマッチを生かし、ドライブからバックシュートを決めて18-9としたところで、三河はタイムアウトを要求した。

22-20と滋賀がリードして第1クォーターを終えると、その後も粘り強いディフェンス、中と外のバランスが良い攻めで、2点のリードを保ったまま前半を終えた。

オン・ザ・コート数がともに「1」の第3クォーターで滋賀がペースを握る。桜木は第1クォーターの10分間のみで、その後は出場せず。鈴木貴美一ヘッドコーチは「病み上がりで状態が良くなかった」と試合後に説明したが、ポストアップから三河の攻撃を作り出す桜木の不在は大きい。本職ではない4番ポジションでプレーする高橋マイケルをファイ・サンバが攻め立て、インサイドでアドバンテージを作った。

インサイドに軸ができたことで、インサイドアウトの展開やドライブの仕掛けが効果を増し、いよいよ滋賀が勢いに乗る。狩野祐介がシンプルなスクリーンピックから3ポイントシュートを沈めると、流れるようなボールムーブからノーマークを作り出していく。その後も2本連続で狩野が3ポイントシュートを沈め、点差を2桁に乗せる。最後のポゼッションではマブンガがバスケット・カウントをもぎ取り、62-49とリードを広げて最終クォーターを迎えた。

桜木とバッツ不在の終盤、マブンガとブラッキンズが猛威

ジュリアン・マブンガとクレイグ・ブラッキンズ、外国籍の強力コンビを要する滋賀はオン・ザ・コート「2」の戦いに絶対的な自信を持っている。オン・ザ・コート「1」の時間帯で流れを作った滋賀は、第4クォーターの出だしから2人の外国籍選手がその力を発揮。マブンガが自分のシュートミスを自ら取って押し込み、ブラッキンズが速攻からレイアップを沈める。滋賀は終盤までよく足が動き、オーバーヘルプになりすぎない絶妙なディフェンスも機能した。

残り7分38秒、マブンガのオフェンスリバウンドからブラッキンズが3ポイントシュートを沈める。滋賀が2分半で9-0と走り、点差を20に乗せたところで三河はタイムアウトを要求した。

三河は橋本竜馬を投入して盛り返し、柏木真介のミドルシュート、ギャビン・エドワーズのインサイドで反撃するが、タイムシェアを徹底してアイザック・バッツもプレーしないとなると、マブンガとブラッキンズを止められない。滋賀は最後までアグレッシブな戦いを続け、80-65で勝利を収めた。

「ウチが悪かったというより滋賀が素晴らしかった」

滋賀の遠山向人ヘッドコーチは「勝って残留を決めることができて、とてもうれしく思います。シーズンを通して11連敗などたくさんの敗戦がありましたが、選手たちが力強く戦ってくれました。自分たちのプレーがどんなものがいいのか、というのを選手たちが共通認識できて、ここぞの場面で踏ん張れるようになったのが大きかった」と、敗戦から成長を重ねたことが残留の決め手となったと胸を張った。

22得点12リバウンドのダブル・ダブルを記録したマブンガは「残留できたこともそうですが、最後の2カ月でチームとして戦えたことがうれしい」と喜んだ。そして、制したばかりの残留争いをこう語る。「シーズンを振り返ると、栃木戦での大敗(57-103、3月18日)が大きなターニングポイントでした。自分自身そんな負け方をしたことがなく、コーチとも話し合って意見交換して、そこからチームが変わっていったと思います」

シーズン中盤まで勝ち星が伸びず、年末から1月にかけて11連敗を喫してリーグ勝率ワーストにまで沈んだ滋賀だが、まさかのV字回復。ラスト10試合を8勝2敗で乗り切っている。これは西地区の圧倒的な王者、三河を1つ上回る数字だ。シーズン途中で加入した並里、ブラッキンズがフィットしたのはもちろんだが、何より大きいのは加入1年目の『外様』が多いチームでありながら、モチベーションが保てなくてもおかしくない時期により結束し、チームとしてまとまっていったことだ。

三河の鈴木ヘッドコーチは「今日はウチが悪かったというより、滋賀のディフェンスが素晴らしかったです。リバウンドへの執着心など、プレーオフを回避する、勝ちたいという気持ちが出ていました」と滋賀のメンタルを素直に称賛した。

Bリーグが開幕し、長かったレギュラーシーズンも残すところ1試合となった。それぞれの思惑はあるだろうが、選手たちには最高のプレーで有終の美を飾ってもらいたい。