文・写真=鈴木栄一

45勝13敗、2試合を残してレベルの高い東地区を制す

5月3日、栃木ブレックスが敵地でアルバルク東京と対戦した。田臥勇太とジェフ・ギブスの主力2人を欠く中、序盤に主導権を握った栃木がそのまま試合を優位に進め、79-76で勝利。この結果、栃木はA東京、千葉ジェッツとの激しい戦いを制し、東地区チャンピオンの座を確定させている。

第1クォーター、栃木はライアン・ロシターを軸に高確率でシュートを決め21-14と先行する。第2クォーターにA東京はディアンテ・ギャレット、ザック・バランスキーらの得点で追い上げるが、栃木は須田侑太郎がこのクォーターだけで9得点。そして前半終了間際には古川孝敏が連続で3ポイントシュートを沈め、45-37とリードを保って試合を折り返す。

第3クォーターに入っても栃木の流れは続き、12点リードで第4クォーターへと突入する。しかし、ホームのA東京も目の前で相手に地区優勝を決めさせたくないと粘り強く反撃。竹内譲次の得点などで残り約5分に4点差に迫ると、残り約2分にはギャレットが速攻を決めて72-71と逆転する。

だが、栃木はすぐにロシターがオフェンスリバウンドからシュートをねじ込んで再びリードを奪う。そして、残り30秒を切ってから、A東京が仕掛けたファウルゲームに対し、渡邉裕規がフリースローを4本連続で決めてリードを保ち、3点差で逃げ切った。

ベンチメンバーが結果を出したことに指揮官も笑み

栃木のヘッドコーチ、トーマス・ウィスマンは「とてもタフな試合でした。アルバルクはとても素晴らしいチームです。ポゼッションの数もほぼ同じでしたが、最後の局面でフリースローを決めたチームが勝ったという試合でした。激しい試合に勝ってハードな東地区を勝ててうれしく思います」と語る。

また、指揮官は「残り2試合(地区優勝を決めないといけない)プレッシャーを感じることなく、チャンピオンシップに向けて良い状態で臨めるようにプレーできる」と続けた。

23得点のロシター、18得点の古川といったエースの奮闘だけでなく、田臥とギブスの欠場を受けてプレータイムの増えたベンチ陣の活躍が、この試合の勝因となった。指揮官もこの点については大きな手応えを感じている。

「バランスの取れた得点が自分たちの強み。今日は須田が14得点と素晴らしい活躍でした。今日に限らず、ここ数試合、彼はビッグショット、大事な局面でしっかりシュートを決めてくれている。熊谷(尚也)選手も点の取れる選手ですし、大事なところで3ポイントシュートを決めてくれた」

「渡邉も田臥がいない中でチームをコントロールしてくれました。そして、重要な局面でフリースローをしっかり4本決めてくれた。(トミー)ブレントンもチームトップの9リバウンドと、ギブスの抜けた穴をカバーした。生原(秀将)も、彼の役割を果たしてくれた。このように控え選手が活躍してくれたのは、チャンピオンシップに向けて良い状況です」

18得点の古川「当たり前のことをやり続けていけるか」

そして本日、3ポイントシュート4本中4本成功などスコアラーとしての役割をしっかり遂行した古川は、地区優勝への喜びを語る一方で、あくまでも初代チャンピオンに向けた通過点であると強調する。チャンピオンシップを勝ち抜くためには、「常に当たり前のことをやり続けていけるか。激しいディフェンスから走るという自分たちの強みを出し続けられるようにしていきたい」と語った。

29日、30日とホームで千葉ジェッツ相手に連敗を喫して迎えた敵地でのアルバルク東京戦。しかし、会場の『約半分』を埋めたように見えるチームカラーの黄色をまとったファンの声援を背にしての地区優勝達成は、千葉戦での悪い流れを払拭することのできる価値ある1勝となった。