カワイ・レナード

チームの真価が問われるファイナルに

昨年の夏、ラプターズは生え抜きのデマー・デローザンをスパーズにトレードし、カワイ・レナードとダニー・グリーンを獲得するという賭けに出た。

トレード成立直後は、9年間も球団に尽くしたデローザンを裏切る形となってファンの反感を増長させてしまったものの、レナードが加わったラプターズはレギュラーシーズン開幕から好調を維持し、昨シーズンと遜色ない58勝24敗、東の2位でプレーオフに勝ち進んだ。そして、東の首位通過を果たしたバックスをカンファレンス・ファイナルで下し、球団創設から24年目にして初のNBAファイナル進出を果たした。

スパーズで優勝した2014年以来のファイナル進出について聞かれたレナードは、「このステージに立つために努力してきた」とコメント。「このチームに来て、才能溢れる素晴らしい選手たちに出会えた。それでも、日々努力の繰り返しだった。チームのシステムを理解しようと努力した。カイル(ラウリー)がコート内外での自分を支えてくれて、特定のプレーを実行する場合に、どうすればいいかを指示してくれた。ハードワークをこなした結果、今この場にいられる。とても興奮しているよ」と、続けた。

ラプターズ球団社長のマサイ・ウジーリは、試合後、レナードを「リーグのベストプレーヤー」と称賛した。そのことを伝え聞いたレナードは「自分は、そういう形で自分のプレーを評価しない」と答え、そして、昨年のトレードの件についても触れ、次のように続けた。

「チームの勝利のことだけを考えている。自分がベストプレーヤーかどうかは関係ない。いつも言っているように、ベストチームになりたいんだ。シーズン開幕前にトレードが成立して、マサイは、トレードを決めた理由を僕に教えてくれた。それが上手くいって、僕たちはファイナルにまで勝ち進むことができた。ただ、まだ終わったわけではないから」

デローザンとのデュオは解消されてしまったものの、在籍7年目のラウリーにとっても、初のファイナル進出は感慨もひとしおだろう。これまでのチームにできなかったことを達成できた要因を聞かれると、彼は笑顔で「カワイの存在」と答えた。

「彼は、どんな時だって冷静なんだ。(セブンティシクサーズとの)第7戦後には感情を表に出したけれどね。ただ、カワイ、それからダニーが優勝経験をチームにもたらしてくれた。それからマルク・ガソルというベテランもチームに加わった。ケガもあったけれど、ニック(ナース・ヘッドコーチ)がシーズン序盤からチームの方向性を定めてくれた。自分たちは、4月、5月、6月までプレーするために準備してきたんだ。それが実って、6月もプレーできるようになった」

昨年のトレードが非情な判断だったにせよ、ラプターズはカンファレンス・ファイナルという大きな壁を超えられた。王者ウォリアーズに挑戦するファイナルでは、1年という月日をかけて作り上げてきたチームの真価が問われる。