小林大祐

『5人制の選手がどこまでやれるのか』のテスト

3×3日本代表は、中国の長沙での『3×3アジアカップ2019』に参戦している。昨日の予選ラウンドでは男子代表が初戦でヨルダンに敗れるも、トルクメニスタンには勝利して、1勝1敗で決勝トーナメントに進出。女子はフィリピンに20-8、スリランカに22-11と2試合いずれも危なげない勝利を収めて決勝トーナメント進出を決めた。

男子は苦戦が目立ったが、今回のチームはBリーグを主戦場とする選手で構成されており、5人制の選手がどこまでやれるのかのテストの意味合いが強い。5人制では経験豊富な小林大祐も3人制は始めたばかり。初日を終えて小林は「やはり初戦が悔やまれます。初めて3×3の国際大会経験でしたし、それを言い訳にしてはいけないですけれど、足が止まってしまいました」とコメントしている。激しいコンタクトありきのぶつかり合い、1試合の時間は短くてもプレーが途切れることなく続くキツさと、3×3特有の激しさに慣れるのは簡単ではない。

「僕たちは3×3に関しては初心者同然なので、そのなかでもアジアでどれだけの結果につなげられるかを意識して、明後日の決勝トーナメントに向けて、みんなで頑張っていこうと思います」と小林は言う。中1日というスケジュールは僥倖で、休養よりも初日のプレーから反省点を見いだしてアジャストするための期間として有効活用したい。

3x3女子日本代表

伊集南「メダルに絡めるという自信はつきました」

女子も男子と同じ状況にあり、日本代表メンバー4人のうち3×3の公式戦を経験しているのは宮下希保のみ。その宮下も昨年夏の『U23 Nations League』とアジア競技大会に参加しただけで、競技経験は1年に満たない。それでも普段はWリーグで5人制バスケをやっている選手たちが、半面のコートを巧みに使ってスペーシングや緩急をつけたプレーを披露。経験不足を感じさせない安定感を見せ、フィリピンとスリランカに危なげなく勝利した。

伊集南は昨日の2試合を終えて、次のようなコメントを発表している。

「1試合目に、どれだけ自分たちの形で試合に入っていけるかがポイントだったと思いますが、周りの雰囲気にのまれることなく、試合ができたことがよかったです。合宿のときから、この4人で取り組んできたことが、まずまずうまくいったのだろうと思います」

「2連勝したとはいえ、決勝トーナメントのこれからが本番です。今日の試合で、自分たちはやれる、メダルに絡めるという自信はつきましたし、私たちはみんなの代表としてここにいるのですから、自分としては、メダル獲得に貢献していきたいと思います。まだディフェンス面などの改善点はありますが、チームみんなでコミュニケーションを図り、必ずやメダルを取りたいと思います」

東京オリンピックの開催国枠が認められ、すでに出場権を確保したことで、日本にはメンバーを試す余裕ができた。歴史の長い5人制に比べて、3×3はこの数年間でルールや国際大会の仕組みが整えられた新しい競技であり、技術的にも戦術的にもここから短期間で大きな改革が起こり得る。5人制を主戦場とする中で3×3の適性を持つ選手たちが、アジアを舞台にどこまで戦えるのか。3人制の経験不足を5人制の技術と能力で埋められるのか。

自国開催のオリンピックを控えているという追い風もあり、いち早くこの競技に取り組んだ日本は、ライバルより一歩リードしている。このリードをあと1年キープするだけなのか、広げていくのか。もちろん求められるのは後者であり、その時にはメダル獲得が具体的な目標となる。