デイミアン・リラード

同期のメイヤーズ・レナードの活躍に「興奮した」

ウォリアーズとのカンファレンス・ファイナルで1勝もできずに敗退が決まった直後、トレイルブレイザーズのデイミアン・リラードは、ここまで戦い抜いたチームを称え、王者との力量の差を認めた。プロの競技者として内心は悔しい気持ちでいっぱいであるはずだが、彼の口からネガティブな発言は一つも出なかった。

今シーズンで印象に残った場面を聞かれたリラードは、このように答えている。「どの場面というよりも、シーズン全体だ。オーナーが亡くなり、ケガ人も出た。けれども、チームは問題が生じた時に答えを出し続けた。お互いを信頼し合って、助け合ったんだ。大変なことが続いた中で、これだけの結果を残せたのは、グループとしてまとまっていたからこそ、NBAファイナル進出を目指して戦いができるポジションまでたどり着けたんだ」

この日の試合で最大のサプライズは、キャリアハイとなる30得点を記録したメイヤーズ・レナードだった。リラードも、同じ2012年のドラフトで指名された同期(リラードは全体6位、レナードは全体11位)のパフォーマンスに興奮した一人だった。

「彼がシュートを何本も決めた試合は記憶にあった。でも今日は、前半で25得点も決めていて、『すげえ!』って思ったよ。今日のような瞬間を彼が生み出した試合は見たことがなかった。これ以上ないタイミングだったね。僕も興奮したし、うれしかった。さっきも言ったように、チームのみんながステップアップしてきた。彼はその良い例だよ。それも今シーズンだけではなく、この7年間ずっと変わらない」

またリラードは、年俸1000万ドル(約11億円)超えという待遇に見合わないと批判されることも少なくない同期を擁護。「NBAではチームの内情を知りもしないでネット上で言いたいことを言う人もいる。仮に選手に関する情報を持っていたとしても、自分たちが同じ人間ということを考えてくれない。僕たちだって家に帰れば、家族、子供、友人との時間を過ごす。他の人たちと同じようにね。それなのに批判ばかりされてしまう。そういう体験を、メイヤーズは乗り越えてきた。その姿を、チームに加わった最初の日から知っている人間として、僕以上に彼の活躍を喜ばしく思っている人物はいないだろうね。彼にとって素晴らしい一日だった。できることなら勝って終わりたかった。それができていたら、彼のことを周りも称えたはずだよ」

第2戦から第4戦まで、ブレイザーズは2桁のリードを守りきれず敗れた。リラードは、ケビン・デュラント、デマーカス・カズンズがシリーズを通して欠場し、第4戦ではアンドレ・イグダーラも不在という状況にもかかわらず延長を制した王者との実力の差を痛感。中でもシリーズを通してチームを牽引したドレイモンド・グリーンに最大級の賛辞を贈っている。

「ウォリアーズについての話になると、何よりも先にシュートの話になる。ステフ(カリー)とクレイ(トンプソン)の話になるけど、ドレイモンド・グリーンが違いを生み出したんだ」

「コートで常に声を出してリバウンドを奪って、ポイントガードの役割まで担っていた。ボールをプッシュして、プレーを決めていた。こちらのプレーまで読んでいた。あらゆることをコントロールしていたのは彼だよ。とにかく声を出し続けて、周りを引っ張って、あらゆる部分を操っていた。それが彼らの安定感に繋がっているんだ」

「僕たちが唯一コントロールできなかったのが第3クォーターだった。彼らは第3クォーターにすさまじいランを成功させて、試合をひっくり返す。この安定感こそ、彼らが王者である所以だ。リードしていても、ビハインドを背負っていても、同じプレーができる。すべてがシャープで、ディフェンスを機能させ、リバウンドを奪って、アクティブにプレーしている。僕たちだって同じようなプレーはできた。でも、それはリードしていた時だけ。彼らは常にそういうプレーを続けられるんだ。それで相手との差を縮められる。たとえ15点のビハインドを背負っていても、こちらのファウルで相手にフリースロー2本が与えられて、オフェンシブリバウンドを奪って、3ポイントシュートを決められて、気がつけば3点差だ。それで相手のフィーリングも良くなる。それだけ安定したプレーができているのは、ドレイモンドがチームを引っ張っているからだ」

『たられば』はいくらでも並べられるが、リラードのように潔く負けを認め、清々しいほどに相手を称えられるカッコ良さもある。一つも泣き言を言わずにチームを引っ張り続けたリラードは、負けてなお男を上げた。