「スタッツは良くても、チームを勝たすことができなかった」
5月15日に実施された『B.LEAGUE AWARD SHOW』をもって、今シーズンのBリーグの全日程が終了した。ベスト5には、3選手が3年連続で選出されており、その一人がシーホース三河の金丸晃輔だ。ベスト5に選ばれた感想を「うれしいのと、驚いているのと、自信がさらについたかなって感じです」と金丸は語る。
金丸は出場した52試合すべてに先発し、3ポイントシュート成功率43.7%(リーグ3位)、フリースロー成功率90.9%(3年連続リーグ1位)を記録し、平均17.9得点(日本人リーグ1位、チーム1位)を挙げてチームを牽引した。
スタッツを見れば、ベスト5に選ばれてもなんら不思議ではないのだが、金丸自身は「スタッツは良くても、チームを勝たすことができなかった。チームを勝たせてナンボだと思っていたので、選ばれてびっくりです」と、驚いたその理由を明かした。
今シーズンの三河は、長年主力を務めた橋本竜馬と比江島慎が退団したことで苦しいシーズンを送った。試行錯誤を繰り返し、最終的に若手を大胆に起用することでチームは上向いたが、チャンピオンシップ進出を逃しては『成功』とは言えない。
若手の台頭はチームとして歓迎すべきことだ。だが、選手起用がコロコロと変われば、共通理解は生まれない。チームケミストリーを誰よりも大事にする金丸にとっては歯がゆいシーズンとなった。だからこそ、ほとんど個の力で得点を量産してベスト5に選出されたことが、自信にも繋がったのだ。
シーズン最終戦での取材は連敗したことで、「感情的になった部分があった」という金丸。「冷静に考えると、精神的に強くなったと思うし、最後までみんなと戦えたのは良かった」と、新しい三河の1ページをめくった充実感を感じ、笑顔を見せた。
いつもより長いオフ「バス釣りに充ててちゃだめだなって」
チャンピオンシップ進出を逃したことで金丸には、いつもより早いオフが訪れた。「早く終わって、こんなに長期休みに入るのは初めてなので、何をしたらいいか分からないです(笑)」と金丸は苦笑いを浮かべる。
NBL時代を含め、5年連続でプレーオフに出場するなど、常にレギュラーシーズンの先の予定が埋まっていた。オンとオフの切り替えをしっかりするタイプの金丸だが、あるべき予定がなくなり戸惑いを隠せないという。
「今までのオフはバス釣りをやっていました。今回はオフがさらに長いわけじゃないすか。いざ時間があり過ぎるとなると、その長い分もバス釣りに充ててちゃダメだなって」と、オフの期間が増えたことを手放しで喜んではいない。
「プレーオフに出れず、いつもの終わり方と違うので気持ちも全然違いますね。まだ予定はないですけど、もうちょっと違った時間の使い方をしようと思います。もっとやらないとなって」と、これまで以上に、オフの準備期間を大事にすることになりそうだ。
三河はすでに3人のポイントガードを自由交渉選手リストに公示するなど、新たなチーム再編に着手している。金丸も「まだ誰が入るかも分からないですし、どんな感じになるかも分からない、まだ燃え上がる感じではないです」と言う。今シーズン、生みの苦しみを誰よりも感じた金丸。だからこそ、今はいつもよりも長いオフを満喫してほしい。来シーズン、再び常勝チームに生まれ変われば、長いオフは当分やってこないのだから。