ホームの声援に後押しされ一歩も引かない戦いぶり
残留プレーオフ圏を脱出した秋田ノーザンハピネッツだが、下位との差はわずかで、強豪揃いの東地区に位置する不利もある。東地区首位の栃木ブレックスが相手でも勝利が欲しいところ。
その気迫で上回り、序盤は秋田のペースとなる。シュートタッチが上がらない栃木を尻目に、軽快なパス回しから良いシュートセレクションを見せる。谷口大智の3ポイントシュートが決まり、開始3分半で7-0とリードしたところで栃木はタイムアウトを要求した。
その後は渡邉裕規のゲームメークで栃木が盛り返すが、中山拓哉の自陣から狙った超ロング3ポイントシュートが第1クォーター終了のブザーと同時に決まり、17-13と秋田が先手を取った。
しかし、オン・ザ・コート「2」の時間を迎えると栃木が牙をむく。ジェフ・ギブスが田口成浩のレイアップをブロックすると、栃木得意のトランジションで田臥勇太が速攻を決め18-17と逆転する。
リーグトップの守備力を誇る栃木の前に秋田は得点が止まる。レオ・ライオンズ、イバン・ラベネルを有効に使いたい秋田だが、ボールを簡単に入れられず、リングから遠い場所でしかボールをもらえずに仕事をさせてもらえなかった。
一方の栃木は流動的な連携によって、持ち味を最大限に引き出されたギブスが3ポイントシュートを含む8得点を荒稼ぎ。40-32と逆転して前半を終える。
安藤誓哉を軸に果敢な攻めで栃木を追い詰める
それでもオン・ザ・コート「1」の第3クォーターになると、再び秋田がペースを握る。安藤誓哉のスピーディーなドライブを止められない栃木はファウルがかさみ、残り5分でチームファウルが5に達する。ソフトになったディフェンスを見逃さず積極的に攻める秋田がフリースローで追撃する展開となった。
残り1分を切ったところで中山がフリースローを沈め、53-54と1点差に詰め寄るも、ここで渡邉に3ポイントシュートを許し、最後のポゼッションでもギブスにインサイドを破られ、53-59と6点ビハインドで最終クォーターを迎えた。
第4クォーター残り7分37秒、栃木はギブスが足首を故障しコートを去るアクシデントに見舞われる。秋田がライオンズのミドルシュートで、65-68と1ポゼッション差としたところでオフィシャルタイムアウトを迎えた。
しかし、ここでも秋田に傾きかけた流れを止めたのは渡邉だった。得点源のライオンズから遠藤祐亮がボールを奪い、トランジションからノーマークとなった渡邊がきっちりと3ポイントシュートを沈めて突き放す。
田口が3ポイントシュートを返すが、渡邊が再び身体が流れながらの難しいシュートをショットクロックギリギリで沈め、残り3分を切り8点のリードを保つ。
正念場で出た地力の差、渡邉裕規が殊勲の働き
この正念場で優勝争いをするチームと残留争いをするチームのメンタルの差が出てしまう。早く追い付きたい秋田が焦りからシュートタッチを狂わせたのと対照的に、栃木は時間をじっくり使い確実に得点を重ねていった。そして残り48秒、ショットクロック残り2秒から古川孝敏が3ポイントシュートを沈めて81-69、これで勝負は決した。
それでも秋田は安藤が3ポイントシュートを沈めるなど試合を捨てることなく執念を見せるも、ファウルゲームを乗り切った栃木が最終スコア85-76で勝利した。
栃木のヘッドコーチ、トーマス・ウィスマンは「秋田はオフェンスリバウンドが強いので、ディフェンスリバウンドに注力し、ピック&ロールのディフェンスに集中した」とゲームプランを語った。
殊勲の渡邉は「ホームで負けている分、強い気落ちを持って臨んだ」と語る。実際、秋田が勢いに乗りかけるたびにビッグショットで鼻先を叩き、詰め寄られはしてもリードを守り続ける展開を作り出した。
秋田は38-53と劣勢を強いられたオン・ザ・コート「2」の時間帯の出来が勝敗を分けた。だが逆を言えば、オン・ザ・コート「1」では上回っており、明日に繋がるパフォーマンスを見せた。
明日の第2戦も秋田のホーム、秋田県立体育館で14時から試合が行われる。