写真=Getty Images

「どのチームよりハードにプレーしないといけない」

東カンファレンス1位でプレーオフに進出しながら、8位通過のブルズに後塵を拝したセルティックス。あろうことか本拠地TDガーデンでの第1戦から2連敗を喫し、シリーズの流れはブルズに大きく傾きかけていた。

しかし、4月21日にシカゴのユナイテッド・センターで行なわれた第3戦ではブルズを圧倒。ブルズのポイントガード、ラジョン・ロンドが右手骨折で離脱したことに助けられた面もあるが、何よりもセルティックス自身がパフォーマンスを取り戻したことが大きい。

アイザイア・トーマスが16得点9アシスト、アル・ホーフォードが18得点8リバウンド6アシスト、エイブリー・ブラッドリーが15得点7リバウンド7アシストを記録するなど、主力がチームを引っ張り104-87で快勝し、シリーズ初勝利を挙げた。

思えばシリーズ開幕前日にエースのトーマスが妹を事故で失うアクシデントに見舞われ、チーム内の雰囲気が感傷的になってしまった。不可抗力とも言えるが、順位こそ8位でも実力は東の上位とほぼ変わらないブルズを下すためには、適切な精神状態を取り戻し、戦闘集団に戻る必要があった。

戦う姿勢が何よりも大事なことをセルティックスに思い出させてくれた人物がいる。それは、昨秋に現役を引退したケビン・ガーネットだった。

2008年のセルティックス優勝に貢献し、2012-13シーズンまでボストンを象徴するリーダーだったガーネットが、苦しむ後輩たちにビデオメッセージを送ったことを、ブラッドリーが明かしている。

ブラッドリーはこう語る。「KGからビデオメッセージが届いて、それを試合前にアイザイアが皆に見せた。それで全員の気持ちが上がったよ。KGは、俺たちを鼓舞する言葉を授けてくれた。彼のメッセージを聞いて、『セルティックスはNBAのどのチームよりハードにプレーしないといけない』ということを思い出した。それに、アイザイアの身に起こった不幸をモチベーションに変えるべきなんだ。プレーすると決めた彼のため、彼の家族のためにもハードにやらないといけない。そういう姿勢を今日の試合で見せられた」

引退後は解説者として活躍しているガーネットだが、古巣が苦しむ姿を黙って見ていられなかったのだろう。ガーネットと一緒にプレーした経験を持つブラッドリーは、こうも話している。

「彼はチームリーダーだった。そして今もセルティックス・ファミリーの一員でいてくれる。不思議だよね。今回のようにメッセージを送ってくれることは、俺たちにとってすごく励みになる。KGが見ているから、しっかりやらないと。自分たちのプレースタイルを重んじないといけない。どんな時も、コートに立てば全力を尽くす。すべてをコート上で出し尽くすんだ」

かつての闘将の檄を受け、セルティックスは闘志を取り戻した。プレーオフを戦う意味に気付き、一つにまとまった。本当の勝負は、ブルズに一矢報いたことで反撃体制を整えて迎えられる第4戦から始まる