流れを引き寄せた2本の3ポイントシュート
アルバルク東京は千葉ジェッツを71-67で下し、Bリーグ初の連覇を達成した。
第3クォーターを29-12と圧倒したことが勝因となったが、そのきっかけを作ったのが後半開始直後に竹内譲次が決めた連続3ポイントシュートだった。竹内はそのシュートをこのように振り返った。「後半一発目、千葉がディフェンスを変えてきて、そこで向こうのマークのズレから自分が空いたので思い切って行けて、それが入って良かったです。2本目については、いつも僕たちがやるペイントタッチから馬場(雄大)がドライブして、マークを寄せてくる感じでした。それは本当に決めれて良かったと思います」
前半を終えた時点で、竹内はシュートを1本しか打てず0点に封じられていた。後半開始早々に竹内がオフェンスで違いを生み出したことで千葉のディフェンスを困惑させた。
また千葉は、A東京が得意とするピック&ロールに対し、マンツーマンとゾーンディフェンス、ゾーンから入ってマンツーマンにするなど、様々な策を講じてきた。A東京はゾーンディフェンスに対し、やや苦手意識を持ち、竹内も「序盤は本当に戸惑った」と認めたが、「そこはうまく対応できた」と、試合中に高い適応能力を発揮。レギュラーシーズンとチャンピオンシップで積み上げてきた集大成をこの大一番で出し、A東京のチームオフェンスは完成形へと昇華した。
千葉に流れを渡さなかったパーカー封じ
こうしてオフェンスが機能したことも大きいが、リーグ最強のオフェンス力を誇る千葉の爆発力を封じ込んで、60点台に抑えたディフェンスが最大の勝因だ。ハリーバックを徹底し、千葉が得意とするファストブレイクポイントを5点に、3ポイントシュートの成功率を25.9%に封じた。
千葉のオフェンスのキーマンであるマイケル・パーカーを6得点に封じたのは竹内だ。「彼がオフェンスリバウンドで絡むことが多くて、そこを取らせないことを念頭に置いて挑んでました。彼にオフェンスで取らせないことが、このゲームにおけるミッションだったので、ある程度できたのかなと思います」
竹内が『ミッション』と話すように、神出鬼没の合わせや、飛び込みリバウンドから得点を量産するパーカーを封じたことが、千葉を勢いに乗せない上で大きな意味を持っていた。それでも竹内は「傾向もだいたい分かってきて、ウチのマークがズレたときに取られることが多かったです。そこはウチのガード陣もしっかりディフェンスをして、マークのズレを起こさなかったのが大きかった」と、チームメートの堅守があってこそと、自身の手柄にしなかった。
それでも飛び込むタイミングを狙うパーカーから目を離さず、どのスペースに飛び込まれても対応できる絶妙なポジションを保ってアタックする隙を与えなかった竹内の働きは大きい。
「特にディフェンス面、いかに相手に仕事をさせないか」
2連覇を達成し、竹内は「正直、去年より疲れました」と、語った。代表活動とBリーグでの活動を両立させながらのシーズンは心身ともに疲弊したことだろう。だが、日本代表でアジアの強豪国と渡り合い、レギュレーションが変更されたBリーグで外国籍選手と対戦し続けたことが、竹内を唯一無二の存在へと成長させた。
「ほとんどの試合で外国人選手とマッチアップして、いろんな外国人選手とやることによって成長できたと思います。特にディフェンス面では、いかに相手に仕事をさせないかをコーチからもアドバイスを受けました。自分自身、ゲームの中で成長できたと思うので、それはすごく良かったと思います」
レギュレーションの変更によって、インサイドを任される外国籍選手の役割は増した。日本人ビッグマンにとっては厳しいルールとなったが、ここでプレータイムを確保し続けたことが竹内を加速度的に成長させることとなった。昨シーズンとほとんど変わり映えのないメンバーで連覇を達成できたのは、チームバスケットの深みが増し、竹内のステップアップがあったからだ。
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