文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

ディフェンスvsディフェンスの重い展開

栃木ブレックスとレバンガ北海道の第2戦。リバウンドが原因で敗れた前日の課題を修正し、40分間集中したディフェンスを続けた北海道が首位の栃木を撃破した。

北海道の水野宏太ヘッドコーチは勝利のポイントとして、第1クォーターのパフォーマンスを挙げた。「まずは第1クォーターで昨日と違うということを、数字だけの問題ではなくリバウンドへの意識だったり、相手に好きにやらせないというところで身体を張りました」

その言葉どおり、北海道は試合開始から強固なディフェンスを見せる。野口大介が遠藤祐亮のシュートをブロックして24秒バイオレーションを誘う。インサイドに目を光らせ、前日の敗因となった栃木のオフェンスリバウンドを第1クォーターは1つに留めた。

攻撃では松島良豪がオフェンスリバウンドに積極的に絡み、栃木のお株を奪う形でイージーにセカンドチャンスポイントを獲得する。こうして北海道が第1クォーターを12-8で取った。

その後もハイレベルな守り合いが続いていく。栃木の強力インサイドに対してはダブルチーム、時にはトリプルチームに行ってペイントエリアの守りを徹底。ズレを作られてもノーマークを作らせず、スティールにならなくても手を広げることでボールを弾いた。最後までしぶとくディナイすることでボールの軌道を変え、栃木のファンブルを誘いターンオーバーを連発させた。

「相手のトランジションをどれだけやらせないようにするかというところで、しっかりオフェンスを遂行すること、相手に簡単に走らせないようにすることでロースコアになった」と水野コーチは語る。丁寧なオフェンスセレクションを徹底し、時間がかかっても良いシュートチャンスを作り出したことが、栃木の得意なトランジションオフェンスを封じた要因になった。

果敢にドライブを仕掛けて活路を見いだした北海道

第3クォーターを終えて36-36。稀に見るロースコアゲームとなり迎えた最終クォーター、北海道がやはりディフェンスからペースを握った。

ジェフ・ギブスのシュートをダニエル・ミラーがブロックし、24秒バイオレーションを誘発。さらにジョーダン・バチンスキーのブロックショットから走った多嶋朝飛が3点プレーとなるバスケット・カウントを決めて41-36と一歩抜け出す。

だが栃木も田臥勇太の速攻で流れを切り、ディフェンスのプレッシャーを強めて応戦する。だが、そのアグレッシブなディフェンスが裏目となり、残り4分48秒でチームファウルが4つに到達してしまう。

北海道はこの機を逃さず積極的にドライブを仕掛け、シュートファウルを獲得。フリースローで得点を重ねて優位を固めていく。それでも栃木は古川孝敏がシュートファウルを連続で誘い、フリースローを確実に決めて追撃した。

残り1分22秒、55-54と北海道1点リードの場面で勝敗を分けるプレーが生まれる。栃木ディフェンスの前にノーマークが作れず、ショットクロックが0に近付いた場面で、ジャマール・ソープが苦しい体勢から値千金の3ポイントシュートを沈める。さらに直後、トランジションを仕掛けるパスを多嶋が弾いてマイボールにすると、そのポゼッションでは松島のオフェンスリバウンドから桜井良太がフリースローを獲得。桜井が落ち着いて2本とも成功させ、残り36秒で60-54とした。

50秒間で5点差をつけた北海道がその後のファウルゲームを乗り切り、最終スコア63-57で栃木を退けた。

最後の栃木戦で初勝利「一矢報いることができた」

敗れた栃木のヘッドコーチ、トーマス・ウィスマンは「北海道のディフェンスがとても素晴らしかった」と相手を称賛。ペイントエリアでのスコア、セカンドチャンスポイントも下回り、インサイドを攻めあぐねたことについては、「彼らの方がハッスルしてアグレッシブに行っていた。際どい場面で決め切れたのはそのハッスルの部分が大きい」と気持ちで相手が上回ったことを認めた。

ジェフ・ギブスは「ダブルチームやトリプルチームなどで複数の選手に囲まれてプレッシャーをかけられ、シュートを決めきれなかった。彼らは半分外を捨て気味にしても、中をよく守ってきた」と分析した。

水野コーチは「何よりも1歩ずつ進むこと、諦めずにやり続けた結果で、一矢報いることができた」と会見を締めた。シーズン6試合目、最後の対戦で栃木相手に初勝利。まさに『一矢報いた』形だ。これで北海道は21勝32敗。残留プレーオフ回避のマジックを1とした。Bリーグは残り7試合となり、チャンピオンシップ出場権や残留プレーオフ回避をかけた争いがますます過熱していく。

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