「B2は格差社会、二極化が進んでいる」
──Bリーグ3年目のシーズンが終了しました。「Bリーグの人気」をどの尺度で測るのかは難しいですが、入場者数で見るとB1は+6%増、B2は-2%減となりました。
B1では各チームのホームゲーム30試合のうち平日開催が4試合増えています。しかも千葉ジェッツや琉球ゴールデンキングスのように満員が続いて入場者数を大きくは伸ばせないクラブがいくつかある中で、横ばいであれば人気は伸びているんだろうな、と考えながらスタートしたのが今シーズンでした。そんな状況での6%増という結果は、事実上の成長としては10%を超えていると思っています。まあ合格かな、という感じですね。
B2でも発展途上クラブが出てきていて、茨城ロボッツや広島ドラゴンフライズは売上が5億前後まで伸びると予想していますし、熊本ヴォルターズも4億近くになるでしょう。アースフレンズ東京Zも大きく伸びています。
本気でB1昇格を目指す気構えがあるクラブは、自分たちの努力で成長してきています。一方でいくつかのクラブにとって来シーズンは債務超過の解消が優先事項となっている状態は課題です。リーグとしてもバックアップしますが、リーグ全体を引き上げていくことでさらなるステップにリソースを投じていけるように変化していきたいです。
──コアファンに限らない幅広い層のバスケットボール人気の高まりは感じられますか? 日本代表が世間の関心を引っ張ったこともありますし、最近では渡邊雄太選手が帰国して、各局の夜のニュース番組を渡り歩くように出演しました。
コマーシャルも決まったぐらいだから(笑)。八村塁選手にもこれから引きは結構あるでしょうし、それは大きな変化だと感じます。露出が増えたのは間違いないのですが、難しい部分もあります。キー各局のスポーツコーナーでは、水曜にBリーグの試合があっても扱われません。プロ野球はもちろん、Jリーグも試合結果はスポーツニュースに出ますよね。バスケはそこに至っていない。それは正直に言って悔しいです。
一方で今回のBリーグファイナルはNHKさんが地上波総合で生中継してくれました。民放のいろんな番組で、スポットで取り上げられる機会も増えています。またレギュラーのBリーグ応援番組が3つあるのも、これは本当にうれしいことです。そういう意味で前進はしているけど、満足はしていません。
「第1にアリーナが自由に使えない、第2に集客の不安」
──21時からのNHKニュース、22時からの報道ステーション、23時台の各局ニュース番組で毎日バスケットボールが扱われるようになれば大きなインパクトがありますが、それを実現するために、Bリーグやバスケ界から働きかけられることはありますか?
私は将来的には平日も含めて毎日、Bリーグの試合をやりたいんです。NBAがそうですよね。韓国だって月曜日以外は毎日やっています。Bリーグでそれができない理由は、第1にアリーナが自由に使えないから。第2に平日だと集客に不安があるから。でも私は第2の理由は間違っていると思っていて、毎日試合をやるようになれば、スポーツニュースで毎日Bリーグが取り上げられるようになり、それは集客の不安を払拭するほど意味があると考えているんです。そういうところを狙っていきたいですよね。だから、水曜の平日開催を増やして集客を落とさなかった今シーズンの成果にはすごく大きな意味があると思っています。
それともう一つ、連戦をやって中5日空いてまた連戦、というスケジュールはバスケット本来のものではないので、これでは世界の強豪国に追い付かないという思いもあります。男子日本代表のフリオ・ラマスヘッドコーチとBリーグのレギュレーションについて話すと、地区制やオン・ザ・コートのルールは理解してくれるのですが、週末に連戦を組むスケジュールには違和感があると言われます。
──壮大な未来予想図ですが、Bリーグが1週間7日間のどこでも試合をできるようになるには、どんな段階を踏んでいく必要があるのでしょうか。
まずは単純にアリーナの問題が大きいです。韓国はなぜ可能かと言えば、シーズン開幕の時点で設営をしたら、そのままシーズン終了まで看板が出しっぱなし、試合会場の撤収をやらずに済むそうです。先日も韓国のKBLチャンピオンシップを見に行って、チアとマスコットは圧倒的に日本のレベルが上だと感じたのですが(笑)、そういう部分でまだ差があります。
アリーナの問題はすぐには解決しません。近未来の話にはなってしまいますが、2026年でBリーグは10年になります。そのあたりでアリーナのレベルをもう一段階上げて、B1を仕切り直して平日いつでも開催できるリーグにしたいという願いはあります。
いずれにしても今の段階から水曜開催をもっと定着させたい。今シーズンは平日にバスケを見る文化が受け入れられるのか手探りでしたが、今後もっと平日開催を進めていくことでファン層を開拓していかないといけない。そのための布石は打っていくつもりです。何と言っても東京2020オリンピックですよ。オリンピックに向けて来シーズンのBリーグがさらにタフになることを期待したい。
「BリーグのトップクラブをアジアNo.1に」
──Bリーグが始まって一つの区切りとなる2020年に向けては、何を実現させたいですか。
日本代表がアジアのトップの仲間入りをすること、1億円プレーヤーの誕生。入場者数300万人と事業規模300億円。そしてアリーナ事業運営への参画。この3つを掲げてBリーグをスタートさせました。アリーナ事業運営は琉球、千葉、三河といったクラブが狙っていて、動きが出るところまでは行けました。この先はナショナルアリーナの夢も描いていきたいです。
協会とリーグ、クラブのオールバスケットでの事業規模は、2018-19シーズンでちょうど300億円を達成できそうです。入場者数はBリーグでおそらく約260万人、ここにアーリーカップとか代表、天皇杯の試合が入って270万人前後。順調には来ていますが、なんとかあと1年で目標に乗せたい。
日本代表についてですが、今回のワールドカップ予選の結果は、オセアニアから加わったオーストラリアとニュージーランドを除けば、韓国の次に日本が来ます。FIBAランキングは長期の成績から決まるのですぐには上がりませんが、予選後半の8連勝を見れば、日本はアジアのトップとは言えなくても、かなり近づきつつありますよね。
また代表だけでなく、クラブの競技レベルも上げていきたい。KBLを見て感じたのですが、Bリーグの上位チームはクオリティでもインテンシティでも決して劣っていないと感じます。サッカーで言うアジアチャンピオンズリーグのような大会を東アジアで作る構想があって、これが実現するとなればBリーグとしてはスケジュール調整に頭を悩ませることになりそうですが、そうなったらBリーグのクラブには是非、アジアNo.1の結果を出してもらいたいです。
そうなるとあとは1億円プレーヤーですね。これを来シーズンに出したい。賛否両論ありますが、私は肯定的に思っています。なんとかすべて実現させたいですね。