富樫勇樹

「リバウンドで勝つなんて想像もできなかった」

千葉ジェッツはチャンピオンシップのセミファイナルで栃木ブレックス戦に連勝し、2年連続でファイナル進出を果たした。

昨日の第2戦は、第1戦で負傷したライアン・ロシターの欠場が千葉に味方した。それでもセカンドチャンスポイントで上回り、速攻の得点でも上回って88-83で勝利したことは千葉にとって大きな自信となる。

そして、レギュラーシーズンで一度も連敗のなかった栃木に対し、このチャンピオンシップで連勝したことも見ても、千葉のバスケットが完成形に近づきつつあることを表している。

富樫勇樹は、この勝利がレギュラーシーズンからの積み重ねであることを強調した。「2連勝したことはもちろんうれしいですけど、この状況を作ったのは60試合のレギュラーシーズンだと思うので。長いシーズン、集中力を切らさず戦い続けたことが結果に繋がっていると思います」

また、レギュラーシーズンでは栃木の最大の武器であるリバウンド力に屈し続けていたが、第1戦で49-39、第2戦で43-30と、この大一番でリバウンドを上回ったことを誇りに感じている。「栃木を相手に、2試合続けて10本以上リバウンドで勝つなんて想像もできなかった。一つのポゼッションだけじゃなく、40分間通して、ボックスアウトの徹底もそうですし、オフェンスリバウンドに飛び込むところもできました」

このようにチームの充実を語る富樫だが、クォーターファイナルの富山グラウジーズ第1戦では、「プロキャリアでトップ3に入るパフォーマンス」と、自画自賛するプレーを見せ、昨日の第2戦でもチームハイの21得点8アシストを記録するなど、ポストシーズンに入ってさらに調子を上げているように見える。ドライブでディフェンスを収縮させ、ノールックかつバックビハインドで西村文男の3ポイントシュートをお膳立てしたプレーは第2戦のハイライトとなったが、「あれはいつもやってるやつです(笑)」と、通常運転であると笑顔を見せた。

「あと一つ、昨シーズンに取れなかったものがある」とファイナルを見据える富樫は「最高の状態でファイナルを迎えられる」と、頂点へ自信をのぞかせた。

富樫勇樹

「トップクラスでできる選手が揃っているチーム」

アルバルク東京と琉球ゴールデンキングスのセミファイナルが第3戦に持ち越しとなったため、ファイナルの相手はまだ決まっていない。どちらもリーグトップクラスの守備力を誇るチームだが、栃木も含めた堅守の3チームと比べても、千葉のディフェンスは遜色がないと胸を張る。

「琉球、A東京、栃木と、その3つがディフェンスで挙げられますけど、千葉も確実にその3つに入るディフェンス力を持っていると全員が思っています。栃木相手にオフェンシブな展開もそうですし、点数がなかなか入らない展開もそうですけど、チームはその状況に応じて戦えました。オフェンスとディフェンス、トップクラスでできる選手が揃っているチームと思っています」

川崎ブレイブサンダースは、栃木の強度の高いディフェンスに屈し、クォーターファイナルで姿を消した。栃木の圧力を終始受け続けたことで、特にガード陣がその波に飲み込まれた。富樫も「常に集中力を切らせない」と栃木のプレッシャーの厄介さを表現したが、そこで簡単にボールを失うことなく、逆にきっちりとボールを運んで攻撃を組み立てられたことが、千葉の連勝を生み出したと言える。

富樫は、同地区で何度も激闘を繰り広げてきたことで、自分にしか分からない『感覚』が生まれてきたと明かす。「これだけ何度も試合をしていると、いつダブルチームに来る、このスペーシングなら多分(ダブルチームが)できないだろうなとか、自分がそのままビッグマンを抜けるっていう感覚があります。個人的にも栃木のディフェンスに対応できる自信はありました」

A東京と琉球はレギュラーシーズンの平均失点を60点台に抑えた強力ディフェンスを誇るチームで、特にガード陣はその対応に神経をすり減らすことになる。それでも、栃木ディフェンスを攻略した富樫なら、それらをかいくぐってチームを頂点へと導けるはずだ。