第3クォーターに失速「自分たちの詰めの甘さが出た」
Bリーグのチャンピオンシップ、栃木ブレックスは千葉ジェッツとのセミファイナル第1戦を67-75で落とした。第3クォーターにオフェンスが停滞し、ファウルトラブルに陥ったことで千葉に主導権を握られたことが敗因となった。
安齋竜三ヘッドコーチも「千葉さんのディフェンスの圧が強くなり、自分たちが生み出したスペースを潰したり、スクリーンがしっかりかからなかったり、そういう細かいところが第3クォーターの失速に繋がりました」と、この部分を敗因に挙げている。
スペーシングを重視する栃木にとっては、スクリーンのヒット率はオフェンスの成否を分ける。スクリーンがかからずディフェンスとのズレが生まれなかったことで、タフショットを多く強いられた。この「細かいところ」をどれだけ徹底できるかが栃木のパフォーマンスを左右する。
遠藤祐亮も、そうした細かなズレを感じ、普段通りのパフォーマンスができなかったと語る。「相手のディナイやオフボールディフェンスの強度が高くて、外へ外へ追い出されてボールをもらってしまった。自分たちのやりたい位置でピック&ロールができず、自分たちのリズムにならなかった」
オフェンスで狂ったリズムはディフェンスにも悪影響を及ぼした。前半は千葉の最大の武器であるトランジションオフェンスを見事に封じ、速攻での失点をわずか2に抑えたが、後半は大事な場面で速攻を許し、さらにはセカンドチャンスポイントも与えてしまった。
「ところどころでトランジションをやられたり、後半は自分たちのミスを得点に繋げられたり、自分たちの詰めの甘さが出た。やられちゃいけないところを理解してはいるんですけど、そこを徹底できなかった」
シュートを打ち切れず「そこは自分の弱さ」
千葉のエース富樫勇樹をマークし、オフェンスでも勝負強い3ポイントシュートを期待されるなど、遠藤に求められる役割は多い。それだけに、6得点5ファウルというスタッツは不完全燃焼だし、遠藤自身も「自分らしさを出せなかった」と言う。
「ディフェンスが激しいチームであることは分かっていましたが、ピック&ロールのところで自分がパス先行になってしまった。いつも打つところで打たなかったり、消極的だったかなとは思います。ファウルは集中力のなさです。思い切り行った結果ファウルになってしまったので、冷静さがなかった」
試合を重ねるにつれ自信を増し、「自分のシュートが入らなくて負けても仕方ない」と言えるまでの強靭なメンタルを備えた遠藤。だが、昨日の試合では迷いが生じ、その精神がブレた。
「シュートを打つ機会はあったんですけど、相手のプレッシャーもあったり、いろんなことを考えていつも通りのプレーができなかったです。そこは自分の弱さかなと。メンタルの強さとか、自分がやらなきゃいけないという責任感をもっと試合で出せれば、今日は勝てたんじゃないかなと思うので。そこは自分の責任として明日はしっかり仕事をしたいです」
「最後のディフェンスの強度を明日にも繋げたい」
ライアン・ロシターの負傷もあり、栃木は最大で17点のビハインドを背負った。だが、安齋ヘッドコーチが「明日に繋がるような試合をしてくれた」とコメントしたように、終盤には2ポゼッション差に迫るシーンも見られた。
「ライアンがいない中で自分たちがどうしなきゃいけないかを最後はやれた。それをやれば明日は勝てる。今日の最後のディフェンスの強度を明日にも繋げたい」と、遠藤も前を向いた。
初戦を落として後がなくなった栃木だが、レギュラーシーズンでも劇的な逆転勝ちを何度も収めているように、逆境での強さを有している。昨日の終盤に見せた粘りもその一つだ。チームを代表する選手へと成長した遠藤が、再び自信を取り戻して責任を果たせるかどうか。今日のGAME2の大きな見どころとなる。