アルペラン・シェングン

ジェイレン・グリーンの自信「経験から学んできた」

セブンティシクサーズはジョエル・エンビードに続きポール・ジョージもシーズン終了となり、さらにタイリース・マクシー、ケリー・ウーブレイJr.にガーション・ヤブセレと主力がごっそり欠場していた。

そんな相手にロケッツは大苦戦を強いられたが、指揮官イメイ・ユドカに言わせれば「不思議ではない」とのことだ。「欠場者が多く、いつもと違うメンバーで戦うチームは、失うものは何もないという気持ちで思い切り良くプレーできる。どの選手もチャンスを最大限に生かそうとした」

そのシクサーズは前半だけで3ポイントシュート26本中15本成功と、すさまじい勢いでシュートを放っては高確率で決めていった。ロケッツは後半からフィジカルなディフェンスを徹底してその勢いを食い止め、第3クォーターには13本中9本の3ポイントシュートを決め、45-24のビッグクォーターを作り出して同点に追い付く。

それでも、戦力不足のシクサーズで新たなエースとなっているクエンティン・グライムスが、スイッチから有利なマッチアップを作り出してはアタックする攻めは強力で、第4クォーターに17得点を奪うクラッチ力を発揮され、ロケッツにとって苦しい展開は続いた。

残り4分を切ったところで115-125と10点差。荒れた展開で2桁のビハインドを背負う状況で、ヒューストンのファンの中には早々に帰路に就く者もいた。だが、ロケッツはあきらめない。残り17秒でジャバリ・スミスJr.がコースト・トゥ・コーストのレイアップを決めて3点差とすると、前からプレッシャーを掛けてグライムスのパスミスを誘い、スティールに成功。残り6秒で3点差の場面で、シクサーズはわざとファウルをしてフリースローを与えた。ロケッツにはタイムアウトが残っておらず、フリースローで2点を返されても逃げ切れるという判断だった。

「跳ね返りすぎない、ちょうど良いバウンドだった」

スミスJr.が1本目を決めた時点で、ユドカはスティーブン・アダムスとアルペラン・シェングンをコートに送り出す。その狙いを理解したファンが総立ちで見守る中、故意に外した2本目のオフェンスリバウンドをシェングンが奪い、そのままタップで押し込んだ。

「あれ以外に方法がなかった」と試合後のユドカは説明し、無表情のままこう続けた。「私が見た中で最高のシュートミスだった。跳ね返りすぎない、ちょうど良いバウンドだった。ただし、あんな状況に陥ってはならない。その前にもっと上手くやれたはずだ」

こうなると戦力不足のシクサーズは屈するしかなかった。オーバータイムの5分間でグライムスは6得点を挙げたが、それがシクサーズの全得点。15-6で上回ったロケッツが、144-137で勝利した。

前半から大量ビハインドを背負い、終盤から延長にかけてタリ・イーソンとフレッド・バンブリート、ディロン・ブルックスと3人が退場する大荒れの試合ではあったが、最後まであきらめず最大25点差をひっくり返す逆転勝利を収めた。

ロケッツのジェイレン・グリーンは30得点13アシストを記録したが、「外したシュートが多すぎてチームに迷惑をかけた。逆にディフェンスでは良い仕事ができたと思っているよ」と語る。それと同時に彼は、クラッチタイムにバンブリートを欠く状況でリーダーシップを発揮できたことを誇った。

「これまで多くのシチュエーションを経験し、そこから学んできた。残り時間と相手のディフェンス、他にも多くの要素がある中でどんなプレーを選択するのか。その学びはまだ続いている。プレーオフに向けてもっと上手くなりたいと思っているよ」