「今は、相手にかすり傷でもつけようものなら退場だ」
ロケッツvsウォリアーズのカンファレンス・セミファイナル第1戦を終えて、ロケッツのジェームズ・ハーデンや指揮官マイク・ダントーニは、審判の判定に関して敢えてコメントした。
彼らが主張したのは、3ポイントシュートを放った際、ディフェンスについたウォリアーズの選手が必要以上に距離を詰め、シューターが着地するスペースにまで足を踏み入れる危険な行為について。彼らの主張は、判定に関しての議論を加熱させるきっかけになった。これにより、第2戦以降の判定に変化があれば、シリーズの行方に影響を与える可能性がある。
今回の件に関連した話ではないものの、ウォリアーズのアンドリュー・ボーガットも、NBAのディフェンスが昔と比べて大きく変わったと主張している。ボーガットは2005年のドラフト全体1位でバックスから指名された大ベテランで、NBAの変化を身をもって経験してきた。
『The Jim Rome Show』に電話出演したボーガットは、昔と今とのディフェンスの違いについて「違うのは明らか。今は相手に触れることができない」と語る。
「今はスコアリングが優先され、優れたディフェンダーはいなくなってしまった。ファンがスコアリングの方を見たいとNBAが考えてのことだからね。でも、最近のスコアリングは、フリースローラインに立つことを指すのかもしれない。良いバランスかどうかは判断できないけど、間違いなく変わった。自分のプレーを今のルールに合わせるしかないんだ」
ボーガットは、NBAでプレーするようになった当初のことを振り返る。「当時のピストンズには、ラシード・ウォーレスのような選手がいて、あの時代はラフでタフなリーグだったよ。相手との接触は避けて通れなかった。当時は、打撲を抱えた状態でプレーするのが当たり前だった。でも今は違う。今は、相手にかすり傷でもつけようものなら退場だ。そういうプレーをする選手もいない」
これらの変化を通して、現代の方が良くなったのか、それとも単純に昔と異なるだけなのかを聞かれたボーガットは、慎重に言葉を選びながら自論を展開した。
「もし、1試合で120点とか130点のような試合が見たいのなら、今のNBAが良いのかもしれない。でも、昔の方が良かったと考えている人にとっては、議論の余地があるところだ。何が良いかは、その人の主観次第なところもある。自分は、純然たるバスケットボールが勝るバランスの方が良い気はしているけれど、スタッツシートを見て楽しむ人もいるわけだから、人によるね」
またボーガットは、第1戦後の議論により、明日の第2戦では「多くのファウルがコールされる」とも予想。「きっとファウルが増える。メディアもそうだし、NBAでも話題になっているから、特に、第1クォーター開始から3、4分くらいは、両チームともに『ボーナス』を得られるんじゃないかな」と語った。
時代の変化に伴う良し悪しについては、結論が出る話ではない。ただ、ロケッツの主張を契機に、プレーオフでの判定に何らかの変化が見られるかどうかは、興味深いところだ。