「僕たちはもう少しリスペクトされるチームになるよ」
トレイルブレイザーズは再建中のチームだが、ここに来て成績が上向いている。1月下旬から突如として勝負強さを発揮し、直近の9試合で8勝を挙げた。日程は比較的楽であっても、バックスに勝ち、サンズには2回勝利している。現地2月3日には第4クォーターで仕留め損なってオーバータイムにもつれたものの、最後まで力強い戦いぶりを貫いてサンズを121-119で撃破した。
勝利の立役者は25得点20リバウンドを記録したディアンドレ・エイトンだ。2018年のNBAドラフトで全体1位指名を受けてサンズに加入したエイトンは、5年目のシーズンが終わったところでこれ以上の成長が見込めないと判断されてブレイザーズにトレードされた。サンズでは5シーズンを過ごし、放出される1年前に4年1億3300万ドル(約200億円)の大型契約を与えてくれた恩はあるが、「見捨てられた」との意識も強いはずだ。
その2日前の同一カードの対戦でも24得点7リバウンドと気を吐いたが、この日はそれ以上のパフォーマンスで、ビッグマンが足りないとしてサンズが補強したニック・リチャーズをペイントエリアで圧倒した。
「今日はプレーオフのような気持ちで試合に臨んだ」とエイトンは言う。「サンズはペースを落とし、ウチの特定のディフェンダーを狙い撃ちにして得点しようとした。苦戦した部分もあったけど、僕らはみんなで力を合わせて乗り切った。チームが一丸となり、ファンに後押しされるホームアドバンテージもあったことで、今日は僕ら全員がプレーを楽しめた。若手にとっては良い経験になったと思う」
延長の終盤、エイトンはしぶとくリバウンドを取り続け、ファウルゲームで何度もフリースローラインに立っても集中を切らさず決め続けた。1点差で迎えた残り6秒から、フリースロー6本中5本を決めた安定感は称賛すべきものだ。
それでも試合後にこのことを質問されたエイトンは、それが気に食わなかったようだ。「僕はいつだって自分らしくプレーしようとしていて、今日だって僕にとっては普通の出来だ。この程度のプレーを質問されるのは正直腹が立つよ」
20リバウンドを記録したことについても「相手がスモールだったから」と答える。「ウチのガードが相手を孤立させて、僕はその流れに合わせてプレーし、ダンカーポジションで相手を倒すだけでよかった。最後の数本は、ちょうど良い位置にボールが落ちてくる幸運もあったけどね」
リラードが去って2シーズン目、再建中のブレイザーズには『チームの顔』となる選手がおらず、勝てない中でそのポテンシャルも評価されていない。そしてエイトンもまた、サンズから放出されて以降は勝てないチームの不器用なセンターとして低い評価しか得られていない。
しかし、ブレイザーズも彼もその立場に甘んじているわけではない。エイトンは強い口調でこう語った。「この調子でプレーを続けていれば、今日みたいな試合はもっと増える。そして僕たちはもう少しリスペクトされるチームになるよ」