デローザン「最後まで戦い抜いたことには意味がある」
ディアロン・フォックス抜きのキングスはファンにとっては物足りなく、寂しさを感じさせるかもしれないが、残された選手たちはプロとして自分の仕事を全うした。トレードが発表された翌日の現地2月3日、キングスは敵地でティンバーウルブズ相手に116-114で勝利した。
先発ポイントガードを務めたマリーク・モンクは、今シーズン最長となる42分の出場で26得点8リバウンド5アシストを記録。特に接戦で迎えた第4クォーターには10得点を挙げてフォックスが抜けたクラッチ力の不足を補った。
キングスではケンタッキー大のチームメートであるフォックスに先発を託してシックスマンを務めることが多かったが、状況は変わった。「チームにとっては新たなステージで、僕にとっては新たなチャンスだ」とモンクは言う。「先発ポイントガードの重要性は理解している。特にフォックスはこのチームで多くのことを成し遂げてきたから、それを僕が引き継ごうと思う」
このトレードデッドラインの前後、どの選手も精神的に落ち着きを保つのは難しい。デマー・デローザンは長いキャリアの中でトレードにまつわる様々な経験をしてきたが、「この1カ月半はずっと大変だった」と言い、こう続けた。「クレイジーな出来事が起きたけど、だからこそチームとして団結して厳しい戦いに立ち向かい、最後まで戦い抜いたことには意味がある。こういうシチュエーションを初めて経験する若い選手もいる。仲間が去るのは残念だけど、誰かがその穴を埋めて、チームとしてベストを尽くすんだ」
キャリア3年目のキーオン・エリスは、デローザンが言う『若い選手』の一人だ。「トレードを知らされた時、みんなそれぞれ自分のことに集中しようとしていたと思う。今日も試合前に『バスケのことを考えよう』と声を掛け合った。移籍で注目が集まっているけど、誰も同情してはくれない。ウチが連敗中で勝たなきゃいけない状況にあることも知らないだろう。ディアロンがいなくなるのは寂しいけど、でも僕らはプロフェッショナルとして前に進むんだ」
ダグ・クリスティへの指揮官交代は、選手たちに闘志を植え付けるという意味で、今回の難局に立ち向かうのに役立ったかもしれない。「選手たちの戦う姿勢、団結し続けたことを私はとても誇りに思う。これがチームの個性となってほしい」と指揮官は語った。
キングスは11日間で敵地での6試合を戦う厳しい遠征の最中にあり、そこでフォックスのトレードが起きた。遠征ラストゲームでウルブズに勝ってもなお、2勝4敗と結果を残せたとは言い難いが、チームは『何が起きようとも前進し続ける』という意思を示した。
それにトレードは失うだけではなく、得るものもある。この日はデローザンが25本のフィールドゴールを放って33得点を挙げたが、次からは新たな戦力がその負担を担ってくれるだろう。これからチームに合流するザック・ラビーンはデローザンにとってブルズ時代のチームメートだ。「ザックは僕が今までプレーした中で最も才能のある選手の一人だ。今はケガも乗り越えたし、ここのファンが彼の本当の姿を目にするのが待ちきれないよ」