安斎HC「良いところもあれば徹底できないところもあった」
B1第20節、越谷アルファーズはホームで広島ドラゴンフライズと対戦。善戦する時間帯はあったものの、後半にリードを広げられて悔しい連敗を喫した。第2戦は最終クォーターで巻き返して粘り強さを見せたが、最終盤で得点が止まり65-76で敗れた。試合後、越谷の安齋竜三ヘッドコーチは常日頃から言及しているチームの強度について話した。
「今日はチャンピオンチームに強度で負けているようでは話にならないという話をして入りましたが、良いところもあれば徹底できないところもありました。(上位チームとの)一つひとつのプレーの質の差を、残りの試合でどのように埋めていくか。常に考え、実践していくしかないのかなと」
安斎ヘッドコーチが話す通り、チーム力は試合を通じて向上していくものだ。前節までの反省点を次に繋げて、強固なものを作り上げていく。指揮官はそれを繰り返していくことの重要性を選手たちに浸透させようとしている。
そんな成長過程のチームで奮闘を続けているのが星川堅信だ。星川は2023年12月に特別指定選手として加入し、3月から先発に定着。越谷のB1昇格に大きく貢献し、今シーズン越谷で本格的なプロキャリアをスタートさせたルーキーは、今節の第1戦は無得点に終わったものの、第2戦では11得点の活躍を見せた。
安斎ヘッドコーチは宇都宮ブレックスの指揮官を務めた2021-22シーズン、早稲田大の2年生だった星川を特別指定選手として招いている。『秘蔵っ子』とも言える星川について安斎ヘッドコーチは次のように評する。
「彼は毎試合、反省点と良かった点を明確にして、そこを詰めていかないといけません。細部まで詰めることが今後の彼のバスケット人生に繋がっていきます。良い部分を自信にしていき、足りない部分を引き上げていく作業を常にやってくれれば成長するところしかないです。ポテンシャルとしては代表に行ける可能性を少し感じますけど、何年もやり続ける必要があります。ディフェンスと得点に加えて、プラスアルファの要素を持てる選手になってほしいなという希望はあります」
このように期待を口にした後、安斎ヘッドコーチは続けて『愛あるダメ出し』をした。「ドライブもできますし、身体の強さもあります。ただ、今日みたいにリバウンドを取りに行って、相手のビッグマンとぶつかって転がっているようでは『お前の身体は何のためにあるの?』っていう……。そういうところは代表には程遠いですね。僕が見てきたトップ選手は、まずそこで負けないです」
「何を意識すればよくなるかに注力してやりたい」
当の星川も「チャレンジャーという気持ちを持って、最初から最後まで40分間、100%を目指してやらないと勝利は手に入らない」と強い気持ちを持って戦っている。
水曜日の群馬クレインサンダーズ戦も含め、後半で失速するチームの弱みは明らか。ここで違いを作らないと勝てないと星川も認識している。「プレータイムが長い選手がいるとタフになり、終盤キツいです。そういう選手の負担を軽減するためにも、僕がミスを減らしていかないといけません」
前述の安斎ヘッドコーチの言葉の通り、一つひとつの課題を明確にして改善していかなければチームは強くならない。星川個人にも同じことが言える。この日は前日の反省点を意識したため、出場時間が延ばせたと言う。
「昨日はアンダー(相手のピック&ロールの際に、ハンドラーのマークマンがスクリーナーの後ろを通って守る方法)で守るとなった時に、スクリーンを気にしすぎてボールマンへのプレッシャーがなくなり、結果的にズレを作らせて悪循環になりました。今日はそのボールマンプレッシャーを意識しました」
オフェンスでも修正ができていた。「昨日はドライブがターンオーバーになり、失点に繋がることがありました。今日は周りを見ながら判断することを意識しました。ドライブは速ければ速いほど良いというものではない。力を抜きながらやればシュートまでいけるし、周りも見えていいプレーができます」
越谷は常に追いかける展開ではあったが、星川のドライブは広島にとっては脅威であり、要所での得点でもチームを支えた。直近では先発起用を外れてベンチからコートに立つことが多くなってきているが、星川はブレずにチームのために戦う姿勢を見せる。
「スタートで使ってくれれば嬉しいですが、こだわりはないです。スタートにこだわりすぎると、ベンチから出た時に準備ができていなくて…となるので。スタートかベンチかよりも、今何ができていないか、何を意識すればよくなるかに注力してやりたいです」
ルーキーの星川にとって、1試合1試合の経験がすべて成長の糧となる。安斎ヘッドコーチの言う通り、持っている素質に疑いようはない。磨けば磨くだけ光るだろうし、伸びしろは計り知れない。いつか日本を代表するプレーヤーとなるべく、星川の挑戦は始まったばかりだ。