写真=Getty Images

終盤まで接戦が続く展開したUNCが6度目の全米王者に

現地4月3日、男子バスケットボールの全米学生選手権(NCAAトーナメント)の決勝が行われ、ノースカロライナ大(UNC)が71-65でゴンザガ大との激闘に勝利を収めた。昨年、同じ決勝にてビラノバ大にブーザービーターで敗れた悪夢を払拭したUNCは、通算6度目の全米王者に輝いている。

決勝、準決勝で最も活躍した選手に贈られるMOP(Most Outstanding Player)にはこの日、22得点を挙げたUNCのジョエル・ベリーIIが選出されている。なおゴンザガ大1年の八村塁の出場機会はなかった。

※男子のNCAAは、FIBAルールと違い、試合は前後半戦で20分。また、フリースローはチームファウル7つ目から9つ目までが1アンド1(1本目が成功したら2本目も打てる)。10個目から2本打てるルールとなっている。

ともに全米トップクラスのオフェンス力を誇る両チーム、決勝では出だしからともに相手守備を崩せずシュートがなかなか入らない重たい展開となる。しかし、ゴンザガ大は準決勝のサウスカロライナ大戦で無得点だった先発のジョエル・パーキンスが前半だけで3ポイントシュート4本成功を含む13得点の活躍でチームを引っ張った。

一方のUNCは準決勝のオレゴン大戦で3ポイントシュート4本成功を含む22得点を挙げたエース格のジョシュ・ジャクソンが、3ポイントシュート6本をすべて失敗。チーム全体でも3ポイント13本中2本成功に終わり、フィールドゴール成功率は30.6%と低調なパフォーマンスとなる。ただ、それでもUNCは攻守ともに粘り強いプレーで食い下がり、前半は35-32とゴンザガ大がわずかにリードして終えた。

息詰まる接戦を制したのはノースカロライナ大

後半に入ると、UNCは最初のポゼッションでいきなりスティールからベリーが速攻を決めるなど連続8得点。開始2分半で一気に5点のリードを奪うが、ゴンザガ大も1年生ビッグマン、ザック・コリンズの得点などですぐに盛り返し、試合は再び一進一退の熱戦となる。

ここで試合の流れに大きな影響を与えたのは審判の笛だ。特に後半は開始から多くのファウルが吹かれて試合がよく止まることもあって、テンポが上がっていかず、膠着状態に拍車がかかる。さらにゴンザガ大は後半残り約16分にして、早くもコリンズが4つめのファウルとなり、ベンチに下がらざるを得ない状況となる。だが、このピンチもゴンザガ大は、エースのナイジェル・ウィリアム=ゴスを中心に一歩も引かない。

このまま試合は頂上決戦に相応しい、互いに譲らない死闘となり、63-63の同点で残り2分を迎える。残り1分40秒、2点を追うUNCはジャクソンのバスケット・カウントでついに逆転。そして残り27秒にアイザイア・ヒックスの得点でリードを3点に広げる。

さらにUNCは次のゴンザガ大の攻撃で相手のエース、ウィリアムズ=ゴスのシュートをケネディ・ミークスがブロック。ここからジャクソンが速攻でダンクを決めると、次のポゼッションでゴンザガ大の不用意なパスをミークスがスティールして勝負アリ。UNCが王座奪還を果たした。

この試合、UNCは持ち味である3ポイントシュートが27本中4本成功と全く入らず。しかし、ターンオーバーの数はゴンザガの14に対しわずか4と、シュートが入らず、審判のファウルコールも多いというメンタル的に厳しい試合でありながら、最後まで集中力を切らさずに戦ったことが最大の勝因となった。