キング開

トゥオビHC「連戦ではテンポを変えて挑まないといけない」

B118節、横浜ビー・コルセアーズはアウェーで群馬クレインサンダーズと対戦。第1戦は強固なディフェンスと高確率な3ポイントシュートで76-74の逆転勝利を手にしたものの、第2戦は第2クォーター以降に点差を広げられ67-81で敗れた。

横浜BCを率いるラッシ・トゥオビヘッドコーチは悔しさをにじませながら、次のように第2戦を振り返った。「第1クォーターは自分たちのやりたいことができて流れが良かったです。そのあとは群馬さんの強度が上がり、自分たちのやりたいことができない時間が続いてしまいました」

敗戦となったものの、東地区2位に位置する群馬に対して、十分に戦えている時間帯もあった。特に第3クォーターから最終クォーターにかけて仕掛けたゾーンディフェンスは効果的で、0-10のランで点差を一気に縮めた。トゥオビヘッドコートはこのディフェンスを評価する。

Bリーグは週末に連続で試合をする特殊なリーグです。連戦を通じて修正が行われ、流れが変わります。今日は2-3ゾーンが効果的な時間帯もありました。連続で試合をするからこそ、テンポを変えたり戦術を考えたりして挑まないといけないため、今日のゾーンは良かったと思います」

この試合で奮闘を見せたのが、キング開だった。前日の第1戦も連続得点で逆転の立役者となったが、この日も日本人選手最長となる2449秒コートに立ち、12得点を記録。第2クォーターには群馬に流れを持っていかれそうな場面で3ポイントシュートを2本成功させ、傷口を最小限に止める活躍を見せた。

キングは試合を次のように振り返る。「昨日の勝利に続けて、アグレッシブにゲームプランを遂行しようとしていました。昨日は藤井(祐眞)選手とトレイ(ジョーンズ)選手を抑えられていましたが、今日は2人が爆発的なオフェンスを仕掛けてきて抑えきれませんでした。それでチームの流れが悪くなって、最後は追いつけませんでした」

しかし、年明け以降のチームの仕上がりにキングは手応えを感じており、前向きな言葉が続いた。「自分たちがここまでやってきたことが間違っていないと感じています。長崎ヴェルカにも2連勝していますし、チームとして成長できている感触があります。中地区の強豪チームの試合がたくさん残っていますが、今節で上位相手にもしっかりと戦えるとわかったので、チームのみんなには『自信を持って上を見てやっていこう』と話しています」

キング開

「ここはまだまだ天井じゃない」

キングのこのような言葉と同様に、トゥオビヘッドコーチからもチームや個人が前進している様子がうかがえた。「チームには『成長しよう』という話をしています。前半戦はケガしている選手も多かったですが、その中で役割を持って成長してくれた選手もいます。後半戦はもちろん1つでも多く勝ちたい気持ちがあるので、その上で全員が成長しながら戦っていきたいです」

トゥオビヘッドコーチの言う通り、前半戦の横浜BCはケガ人も多く、戦績が上向きにならなかった。だからこそロスターが揃った今後にかける意気込みは強い。キングは現状と今後のチーム状況をポジティブにとらえている。

「特別指定の(佐藤)涼成と(前野)幹太が入り人数が増えて、練習の強度も高くなりました。それが結果として出ている部分もありますし、チームとしての伸び代はまだまだあります。毎週成長できると感じますし、できることもたくさんあります。ここはまだまだ天井じゃないです」

キングのスタッツに目を向けると、出場時間は昨シーズンから微増ながら、得点は平均5.7から8.2に増加。アシスト数も平均0.8から1.3と増えている。プレーを見ていてもアグレッシブにリングを狙っていく姿勢が強く、ディフェンスの集中力も常に切らさない。

「今シーズンは個人的にも気合の入っているシーズンです。『ビーコルは河村(勇輝)がいなくなって』と見られるのが悔しかったですし、その分、自分がチームの中心としてやっていくという気持ちがシーズン始まる前からありました。そのための努力もしてきました。チームが求めてくれることに対して、結果を出せるようにフォーカスしてやれています」

インタビュー中のキングは常に晴れやかかつポジティブで、敗戦直後とは思えない充実感を感じた。昨シーズンまでとはまったく違う、新たな航海を楽しんでいるかのようだ。ここまでは黒星先行となっている横浜BCだが、今後の躍進を期待せずにはいられない。