「休養を取って心身を万全の状態に戻したかった」
レイカーズは4勝8敗と勢いを失っており、グリズリーズは10勝1敗と絶好調。グリズリーズ有利が予想されたこの対戦だが、レブロン・ジェームズが心身ともに100%のコンディションで戻って来たとなれば話は別だ。カップ戦があるため日程が楽なこの時期に2試合を欠場し、9日ぶりにコートに立ったレブロンにはキレがあった。
34分の出場で18得点8リバウンド8アシスト1スティール2ブロック。レブロンとすれば『普通』のスタッツかもしれないが、彼には自分の良いプレーをチームメートに伝播させる影響力がある。ヘッドコーチのJJ・レディックはレブロンの貢献についてオフェンスよりもディフェンスの統率力を挙げた。「彼はディフェンスの細かい点にまで気を配る。チームディフェンスが機能した重要な要素は、彼の声掛けとハッスルだ」
現地12月6日のホークス戦に敗れた後、レブロンは休養を取ることについてレディックと話し合った上でチームを離れた。「疲労が溜まっているのを感じた。次のブレイザーズに向けたトレーニングをした時点で、休むのが最善だと思った。次のウルブズ戦まで試合間隔も空くし、そこまで休養を取って心身を万全の状態に戻したかった。そして今日は上手くやれたよ。シーズンを通して、こういう形でスケジュールを利用できるタイミングはほとんどないけど、この1週間でそれをやれた」
レブロンはチームの練習施設に顔を出さず、自分で身体のケアをして静養に努めた。Gリーグでプレーする息子ブロニーの活躍ぶりはチェックしていたという。
ただ、1週間の休養で20年間積み重なったダメージがすべて取れるわけではない。彼を悩ませる足のケガについては「ここ数年はずっと続いているもので、毎日向き合わなければいけない」と言うが、それでも彼は微笑みながらこう続けた。「でも今は100%の状態に戻った。3日前はまだかなりひどい状態だったけど、良くなった。これは素晴らしいことだ。他にもいろんな問題を解消することができた」
指揮官レディックはレブロンについてこう語る。「肉体的にも精神的にも疲れ果てていた。ずっとバスケにすべてを注ぎ込んでいるから、もう何も残っていなかったんだ。長期間に渡ってそのレベルでプレーし続けるのがどれだけ難しいかは、我々にはそう簡単に理解できないよ。肉体的なものだけでなく、すべてに負担が掛かるからだ」
この試合、レブロンの影響力を最も良い形で生かしたのはアンソニー・デイビスだ。40得点16リバウンドを記録。第3クォーター途中でリバウンドを争った際にザック・イディーと衝突して背中を痛めてベンチに下がり、その時間帯にグリズリーズの猛追を浴びたが、第4クォーターにデイビスが戻って来ると流れは再びレイカーズに傾いた。
「少し痛みがあって治療してもらった。個人ファウルが4つになっていたから、ケガがなくても交代するはずだった。治療のおかげで感覚が戻り、試合を勝ちで終えるための力を取り戻せたよ」とデイビスは言う。
そして、盟友レブロンの復帰をこう喜んだ。「1週間休んでエネルギーを取り戻し、そのことが僕らにもエネルギーをもたらした。明らかに何か問題を抱えていたけど、1週間の休養で本来の調子を取り戻して、僕らを奮い立たせてくれたんだ」
レブロンは2週間後には40歳の大台に乗る。これまでのように全速力で走り続けることはできないのかもしれないが、適切な休養を挟めば今もなおリーグ最高の選手として試合を支配できることが分かった。レブロンの復調により、レイカーズを取り巻く雰囲気も一気に明るいものとなった。