「みんなユウキのことが大好きだ。素晴らしいヤツだ」
現地11月27日、グリズリーズはホームでピストンズに勝利した。ピストンズは下位とは言え今シーズンは勢いがあり、ジャ・モラントに加えてザック・イディーも足首のケガで欠場したグリズリーズにとっては油断のできない相手だった。
それでも競ったのは第1クォーターだけ。スコッティ・ピッペンJr.がゲームをコントロールし、この日は復帰2試合目のマーカス・スマートがベンチから出てセカンドユニットを牽引する。第2クォーターを37-18と圧倒すると、第3クォーターも順調にリードを広げ、104-77と大量リードで第4クォーターを迎えた。
この日のフェデックス・フォーラムの観客は1万6200人と、スタンドには少々空席が目立ったが、こういった一方的な展開となった試合終盤に彼らが望むのは、河村勇輝のパフォーマンスだ。試合が終盤に差し掛かると自然発生的に「We want Yuki!」のコールが起き、それに応えるかのように残り3分14秒に河村はコートに送り出された。
すでに勝敗が決して周りの選手たちが試合に集中しきれていない状況で、ポイントガードとしてのプレーメークは簡単ではなかったが、河村がボールをプッシュするたびにスタンドは大いに沸き、何かが起こる瞬間を見逃すまいとしていた。
残り32秒でそれは起こった。マーカス・サッサーをドライブで押し込んだ河村は、ターンアラウンドからのフェイダウェイ・ジャンプシュートを放つ。難易度の高いシュートで、決して良いチャンスが作れたわけではないが、ここは河村にとって間違いなく『勝負すべき』シーンだった。このシュートがリング中央を射抜くと、ガベージタイムとは思えないほど会場は盛り上がった。
3分間でシュート1本を放って2得点。河村の評価を高める活躍と呼ぶほどではないにせよ、会場に足を運んだファンにチケット代以上の満足感を与えたのは間違いない。
この試合でゲームハイの25得点を記録して勝利の立役者となったマーカス・スマートは、コートインタビューで河村について質問されて、笑顔でこう答えている。「ベンチで僕らは観客と同じぐらい興奮して叫びまくっているよ。みんなユウキのことが大好きだ。素晴らしいヤツだよ。彼がここでやれるのは分かっていた。一生懸命にプレーする、素晴らしいプロフェッショナルだ」
これで河村はNBAでの出場試合数が10となった。トレーニングキャンプ契約から始まったNBA挑戦は、ここまで非常に順調に来ていると言っていいだろう。
SLAM THE DOOR SHUT YUKI 😤#河村勇輝
📺 @FDSN_Grizzlies pic.twitter.com/LbzkuBBVvX
— Grind City Media (@grindcitymedia) November 28, 2024