文・写真=泉誠一

古巣相手に寝られないほど勝利を欲したモー・チャーロ

西地区4位と真上にいる琉球ゴールデンキングスに対し、昨日はホームで敗れた5位京都ハンナリーズは1ゲーム差で追いかける立場となった。絶対に負けてはいけない第2戦。これまでの24節のうち、京都が初戦で敗れたのは14節あった。だが、そのうちの10節はいずれもリベンジを果たし1勝1敗の五分で切り抜けている。

3255人の熱い声援が背中を押した今日の2戦目も、83-79で接戦を制した京都がチャンピオンシップ争いに踏み留まった。名古屋ダイヤモンドドルフィンズが勝利したことで23勝24敗と抜け出たが、残る3クラブは22勝25敗で並び、1ゲーム差の混戦状態は次節も続く。

ヘッドコーチの浜口炎はディフェンスを修正すべく、これまでの川嶋勇人から「チームの中で一番ボールプレッシャーをかけられる」藪内幸樹に先発を託した。どちらも負けられない一戦とあり、激しい攻防を繰り広げる中、まずは琉球が先手を取る。

今節を迎えるに当たり、「前日は寝られなかったくらい興奮していた。それくらい勝ちたかったんだ」と話すモー・チャーロ。今シーズン途中まで在籍していた古巣を相手に燃えるチャーロは、ブロックショットを立て続けに決めて流れを呼び寄せる。第1クォーターのラストはチャーロが自ら3ポイントシュートを沈め、16-17と1点差にとらえる。

『ベテランの味』を生かした京都が試合巧者ぶりを発揮

琉球は津山尚大、田代直希、渡辺竜之佑の若手3人がコートに立つ。ディフェンスでプレッシャーをかけたことで、第2クォーター開始早々に19-25と点差を開く。一方の京都は岡田優介、村上直、そして佐藤託矢のベテラン勢で対抗。佐藤がしっかりと得点を返し、守っては技ありのオフェンスチャージを奪って琉球の勢いを止めた。

そこから村上、岡田の連続3ポイントシュートで34-34と振り出しに戻した京都は、さらにチャーロがフリースローを決めて36-34とし、この試合初めてのリードを奪う。前半残り時間は7秒。この時点で2つしかチームファウルを犯していなかった京都がうまくファウルを使いながら時間を進め、リードしたまま後半に向かう。

4本の3ポイントシュートを沈め、55-62と琉球が7点リードを奪った第3クォーター。逆に京都の3ポイントシュートは6本放って1本しか決まらなかった。しかし最終クォーター、それまでの鬱憤を晴らすように内海慎吾、岡田、村上の3連続3ポイントシュートで京都が猛チャージをかける。

勝ちたい気持が強い方が上回るタフゲームを制したのはチャーロだった。「ディフェンスから走って速攻を決めたことでリズムができ、うまく決めることができた」と言う3ポイントシュートを決め、69-69と京都が同点に追い付く。

勇気を持ったディフェンスで藪内、そして岡田がペイントエリア内でオフェンスチャージをもらい、琉球の攻撃の芽を摘む。だが、負けられないのは相手も同じ。津山尚大、喜多川修平が土壇場で3ポイントシュートを決め、78-77と1点差まで追い詰める。前半終了間際同様に、チームファウルが2つだった京都はうまくファウルを使って時間を進め、83-79で勝利をつかんだ。1勝1敗でしのいだことでチャンピオンシップ争いに生き残ったとともに、京都は琉球を抜いて4位に浮上した。

終盤戦は勝敗にかかわらず成長につながるタフゲーム

敗れた琉球だったが、ヘッドコーチの伊佐勉は「負けたのは悔しいが、やりきった感が僕自身にはある」と清々しい表情を見せた。昨日は田代ら若手が勢いに乗せて勝利をつかんだが、今日の試合はキャプテンの喜多川や金城茂之らベテランが我慢して戦い抜いた。「我々には完全なるエースプレーヤーがいないが、必ず誰かが仕事をしてくれている」と話すように、今日も自分たちの仕事をきっちりとこなしている。

雌雄を決する試合である以上、どちらが負けるのは致し方ない。この悔しさが成長の糧になるはず。琉球は次週、チャンピオンシップ争いをする2位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズをホームに迎える。2連勝すれば一気にチャンピオンシップ圏内へ躍り出る可能性がある大事な試合が続く。

京都はチャンピオンシップ進出とともに西地区優勝を決めたシーホース三河と対戦。浜口ヘッドコーチは、「これまでの試合はいずれも大きく点差を離されてしまっている相手。今日のように思い切ってディフェンスからチャレンジするだけ。勝負を決める終盤にミスなく最善の選択ができるチームが上に行く。そのためのバスケIQが必要」と、地区王者を相手に勝機を見いだそうとしている。ベテランが多い京都だけにしっかりと準備して立ち向かっていく。

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