「それからステフの怒涛の攻撃の餌食になった(笑)」
ウォリアーズの『王朝』を長く見てきたファンにとって、そしてクレイ・トンプソン自身にとって、現地11月12日のウォリアーズvsマーベリックスは忘れられないゲームになるだろう。長いキャリアをウォリアーズ一筋で過ごしてきたクレイが、マブスの一員としてチェイス・センターに戻って来たからだ。
ウォリアーズは4度の優勝と数えきれない3ポイントシュート成功をもたらしたクレイに最大限の敬意と感謝を示した。この日の観客には、クレイが優勝パレードでかぶっていた帽子をオマージュした『船長の帽子』がプレゼントされていた。試合開始の前にトリビュートビデオが流されると、ファンはたっぷり1分間のスタンディングオベーションを送り、帽子を振って愛情を示した。彼の13年間の献身を考えれば1分間でもまだ足りなかったかもしれないが、試合が待っていた。
「ファンには本当に感謝している。これだけ敬意を示してもらうのが当たり前だとは決して思わない。素晴らしい歓迎だったし、観客の中には見知った顔もたくさんあって、心が温まるような気持ちになった」とクレイは言う。
クレイがウォリアーズとは違うユニフォームを着ているのは想像しづらいが、それ以上に『スプラッシュ・ブラザーズ』の2人が対戦相手としてマッチアップする姿は想像しづらい。だが、それはティップオフ直後に実現した。ボールを持ったクレイをマークしたのはステフィン・カリーで、ファウルがあってクレイに2本のフリースローが与えられた。
「ステフとの対戦は楽しかったよ」とクレイは言う。「代表チームの合宿やオールスターの練習でマッチアップしたことは何度もあるけど、実際にNBAの試合でとなると現実味を感じられなかった。でも、数分後にはいつもの試合になり、それからステフの怒涛の攻撃の餌食になったわけだ(笑)」
実際には数分もかかっていない。クレイが最初の2本のフリースローを決めた直後の攻めで、カリーは3ポイントシュートを沈めている。自陣に戻りながら彼は、うれしそうな笑顔で『相棒』を指さした。試合は接戦となったが、ラスト3分でウォリアーズの得点12をすべてカリーが決め、チームを120-117の勝利へと導いた。残り27秒で決めたステップバックスリーとともに『ナイト・ナイト』のポーズが飛び出し、試合を終わらせた。
クレイは言う。「終盤にどんどん調子を上げて、とんでもないシュートを何本も決めた。カップ戦の初戦という大事な試合であれを食らうのは最悪の気分だよ。でもまだ対戦は残っているし、どう対処するかはこれから学べばいい」
「試合前にステフがウォームアップする姿をコートの反対側から見るのは不思議な感覚だった。でも、僕らの仕事ではよくあることだ。一緒に優勝した他の偉大な選手たちにも起きたことだよ。まあでも、不思議な感覚だったな。今夜のことは決して忘れないだろう」
この日のクレイは3ポイントシュート6本成功を含む22得点。そしてカリーは37得点を挙げた。「これまでにないぐらい最高の夜だった」とカリーは言う。「彼のすべてに敬意を表したい。彼がいなかったら何も成し遂げてはいなかった。それはみんな分かっていることだよね。彼の貢献を称えるために今日の観客がやったことを思い出すと身震いするよ」