あの瞬間が忘れられないリチャード・ジェファーソン
NBAは時の移り変わりが激しい。もはやファンもメディアも、ケビン・デュラントがサンダーのエースとして活躍していた1年前のNBAを忘れてしまっているのではないだろうか。誰もがラッセル・ウェストブルック、ジェームズ・ハーデンが歴史的なスタッツを残している今シーズンに釘付けになっている中、リチャード・ジェファーソンは『The Block』が今も頭から離れないと言う。
昨シーズンのファイナル第7戦、第4クォーター残り1分50秒という土壇場に生まれた、レブロン・ジェームズのスーパープレーだ。
キャバリアーズが1勝3敗に追い詰められた状態から2連勝して臨んだ天下分け目の大戦。両チームともに負けたくない意地が交錯し、89-89の同点の状態が3分以上続いた緊迫した場面のある瞬間のこと。
ステフィン・カリーからのバウンスパスを完璧なタイミングで受けたアンドレ・イグダーラがペイント内に侵入し、レイアップを狙って跳躍する。一瞬の隙をつかれたJR・スミスが飛びかかるも、これを空中で回避したイグダーラがレイアップをねじ込もうとした瞬間、突如レブロン・ジェームズが背後から現れ、脅威のブロックでウォリアーズの得点を阻止してみせた。このプレーから約1分後、キャブズはカイリー・アービングが決勝点となる3ポイントシュートを成功させ、悲願の球団初優勝を飾った。
「人間がぼやけて見えた瞬間なんて今までになかった」
『The Block』と形容されているレブロンのプレーをベンチで目の当たりにしたリチャード・ジェファーソンは、チームメートのチャニング・フライとホストを務めるポッドキャスト番組内で、この瞬間を振り返っている。
「それは一瞬のうちに起こった。誇張しているわけではないけれど」と前置きした上でこう続ける。「ボールを見ていると、そこに忍び寄る黒い何かがぼやけて見えたんだ。そう思った瞬間、レブロンがブロックを決めていた。目でとらえられないほど速く動ける選手なんて見たことがない。人間がぼやけて見えた瞬間なんて今までになかったことだ」
『The Block』に阻まれたイグダーラも、レブロンのプレーを称賛している。昨年の10月下旬、イグダーラは『ESPN』とのインタビューで「とんでもないプレーだった。あれだけ素晴らしいプレーを決められたら、リスペクトするしかないよ」と語った。