激しい守備、果敢な攻めのプレーでチームを引っ張る
前節、サンロッカーズ渋谷はアルバルク東京を青山学院記念館に迎え撃った。『渋谷ダービー』は連日大入り。最多観客数を連日更新し、2日間で9039人が会場に足を運んだ。
リーグ全体で見てもトップを争うA東京相手に連敗を喫する結果となったが、第1戦では第1クォーターから3-27と圧倒され、そのままズルズルと敗れる不甲斐ない内容。だが翌日の第2戦では立ち上がりを修正し、互角に渡り合った。最後はディアンテ・ギャレットのブザービーターで決着。敗れはしたが、最上のエンタテインメントをファンに提供した。
大敗となった第1戦を終えた後、広瀬健太とともにキャプテンを任されている伊藤駿は、「最初から最後まで引いてしまって不甲斐なかった。アグレッシブにプレーしないといけない」と反省の言葉を述べた。さらには「ディフェンスから走って得点できたことは良かった。これが自分たちの目指してるバスケットなので」と、敗戦の中にも光明を見いだしていた。
第2戦、伊藤は攻守にアグレッシブなプレーでチームを盛り立てる。特に第1戦で25得点と大暴れされたギャレットには特に激しくマークし、8得点とほぼ沈黙させた。そう、あのブザービーターを除けば、第2戦のギャレットは抑えられていたのだ。
チーム全体が守備では激しく、攻撃ではチャレンジを繰り返した第2戦のSR渋谷。中でも伊藤の働きは目立っていた。第1戦でもその傾向はあったが、第1戦では特に、チームが劣勢に陥った時、流れが悪くなった時に、伊藤はプレーでチームを鼓舞する。
「最後まであきらめない姿を見せないといけない」
得点力が売りのタイプではなく、堅実なゲームメークが武器のガード。それでもボールが止まってしまった時にオフェンスの潤滑油となり、得点が欲しい時には狙いに行き、決める勝負強さを備えている。彼自身も「流れを止めないといけない時にそのきっかけ作りが僕から始まればいいなという思いはあります」と言う。
SR渋谷はA東京との2連戦を迎える前の7試合で5勝2敗と勝ち越し、西地区首位を走るシーホース三河からも1勝をもぎ取っている。「自分がやりたいプレーをみんなに伝えてそれをやってくれています。プレーの遂行度は上がってきているので結果が出た」と好調の理由を語った。
『渋谷ダービー』ということもあり、第1戦の来場者数は過去最多の4377人。ここで見せ場のない大敗を喫したことに伊藤は「今日初めて来てくれた方は、もう見に来ないと思います」と大きな責任を感じていた。「自分たちはプロなので責任を持ってやらないといけない。来てくれた人が減っていくのを見るのは悲しいですし、最後まであきらめない姿を見せないといけない」
どんなチームであっても、すべての試合で勝つと約束するのであれば、それは嘘になる。勝利を約束できなくても、不甲斐ない試合は見せてはいけない。
「責任を持ってやらないと」という伊藤の思いはパフォーマンスに表れ、第2戦では連日記録を更新する4662人のファンの前で堂々の熱戦を演じた。観客は何度も総立ちになり、歓声を上げた。この試合を見に来た『初見』のファンは青学記念館を包む興奮に打たれ、次からも会場へと足を運ぶに違いない。
中地区2位の座を懸けた三遠との直接対決はこの週末に開催
SR渋谷はここまで45試合を戦い、22勝23敗。『渋谷ダービー』連敗で負け越しへと転落してしまったが、注目のチャンピオンシップ出場争いでは『ワイルドカード下位』、つまり最後の1枠を何とか確保している。
現時点で千葉ジェッツが保持する『ワイルドカード上位』の位置は、東地区3位のチームが手にすることがほぼ確実。SR渋谷としてはまずは中地区で2位に浮上すること。それができない場合は『ワイルドカード下位』を死守することが目標となる。
今週末は中地区2位の三遠ネオフェニックスと対戦。ここで連勝すれば1ゲーム差に迫ることができる。残り試合を考えても、1勝1敗ではなく連勝したいところだが、「先を見ず、目の前の敵をクリアしていくだけです。過程どうこうより結果を重視し勝利を目指します」と伊藤は語る。
レギュラーシーズン60試合の長丁場も4分の3を消化。交流戦も終わり、いよいよリーグは終盤戦。伊藤が言うように「過程よりも結果」の時期に入った。記念すべきBリーグ初年度、そして伊藤にとってはプロ5年目にして初めてスターターを任されたステップアップのシーズン。チームを引っ張り戦い続けた結果として、彼は何を手にするのだろうか。
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