スコッティ・バーンズ

RJ・バレット、イマニュエル・クイックリーとのトリオ

2019年に優勝を果たしたラプターズは、フレッド・ヴァンブリート、パスカル・シアカム、OG・アヌノビーと若いタレントが揃い、カワイ・レナードを放出した後も上位争いを繰り広げて、強豪の地位を確立したかに思えました。

しかし、コロナ禍でホームの仮移転や多数のケガ人が発生するなど巡り合わせも悪く、結果は伴いませんでした。昨年オフからの1年間で冒頭に挙げた3人が揃って退団することとなり、チームは新たなサイクルへと入りました。

スコッティ・バーンズはキャリア3年目の昨シーズン、19.9得点、8.2リバウンド、6.1アシストとオールラウンダーとして結果を残し、今オフに5年総額最大2億2400万ドル(約340億円)の契約延長を結んで、ラプターズの『新たな顔』と位置付けられました。

サイズのあるウイングながらガードのような役割をこなせるバーンズは複雑なチーム戦術を的確にこなすよりも、ミスマッチを利用して自由にプレーすることで強みを発揮するタイプだけに、『バーンズ中心』の戦い方を明確にすることで輝きます。

また、今オフはイマニュエル・クイックリーとも5年1億6200万ドル(約240億円)の契約延長を行いました。スピードとシュート力のあるクイックリーも、スローダウンして組み立てるタイプのガードではなく、バーンズ同様に積極的なアタックから得点を生み出します。コートを広く使ってスピードで崩していく2人による躍動感のあるオフェンスが、これからのラプターズのスタイルとなります。

さらにウイングからはRJ・バレットがフィジカルなドライブで狭いスペースをこじ開けます。ラプターズの『3本の矢』とも言うべきトリオは、鮮やかな連携で崩すよりも、異なる特徴の個人突破を連続で繰り出すことで違いを生み出しています。ディフェンスからすると誰を優先して守るべきなのか判断しにくく、そこが強みになります。

再建期へと突入したところで、未知数のドラフトに賭けるのではなく実力派の若手を集めたことでチームの核を早々に固めたラプターズ。これが機能すれば、ルーキーを育てるよりずっと早く再建から抜け出してプレーオフ進出チームへとステップアップできるでしょう。

その一方で、大きな契約をまとめて結んだことにはリスクもあります。3人の他にもデイビオン・ミッチェルやオチャイ・アバジなど実力のある若手を集めてはいますが、彼らが活躍しても高額の契約延長はできないため、バーンズ、クイックリー、バレットのトリオで結果が出なければ低迷が長引くことになります。

ラプターズの未来を託すに相応しい『3本の矢』であることをバーンズ、バレット、クイックリーは示すことができるか。ラプターズにとっては今だけでなく今後の数年を占うシーズンになりそうです。